士大夫之見(士大夫の見)(「不下帯編」)
わたしのような「くろうと」になると明日のことでなく、明後日には平日が来ることを考えて、はやくもイヤになってくるのである。

中性子星は小さいのにすごく重い。百貫でぶの比ではないという。
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しかもこれ予定稿ですから、金曜の夜にはもう火曜日のことを考えて落ち込んでいるわけです。プロ中のプロですね。
さて、清の終りに近いころということですが、羅なにがしの教えてくれたことには、
曩予館于貴室。一日、聞主人命市薪六百貫。
曩(さき)に予、貴室に館せり。一日、主人の薪六百貫を市(か)を命ずるを聞く。
わしは以前、とあるおえら方のところで家塾の先生をしておったことがありましてな。ある日、御主人が誰かに「薪木を六百貫分買ってきておけ」と命じている声が聞こえてきた。
もちろん羅さんが命じられるわけではありません。誰かが命じられているのです。伝統中国では家塾の先生は「塾師」とか「館師」と呼ばれて客人扱いでしたから、普通の使用人とは違いますので。
なお、「一貫」はおカネの単位です。銭千枚をヒモで貫いたものが一貫ですから、とりあえず千円として、主人は60万円分買ってこい、と言っているのですから、おそらく大家族の一冬分を見込んでいるのでしょう。
ちなみに、「貫」を重さの単位(3.75キログラム)にするのは我が国の用法です。「百貫でぶ」が如何にすごいでぶかよくわかりますね。それよりも重いというのだから、中性子星の重さは人知を超えているといえよう。
有卒微哂曰、官人今日不知明日事、乃買柴六百貫耶。
卒の微哂する有りて、曰く、「官人、今日は明日の事を知らざるに、すなわち買柴六百貫なるか」と。
下働きの男がにやにやしながら言うのが聞こえた。
「だんなさま。今日に、明日のことがお分かりになりますか。ならないでしょう。なのに、60万円分も薪木を買ってこい、とはなあ、うっしっし」
その後、ご主人がなにやら怒鳴ってる声が聞こえたが、うーん。
予竊嘆、士大夫之見、有不如此卒者、多矣。
予、竊(ひそか)に嘆ずるに、士大夫の見、この卒に如かざる者、多いかな。
わしはひとりでためいきをついておりました。
「立派な経営者や読書人の方々はおられるが、その識見、この下働きのおとこにかなわない者が、実に多いのではないだろうか。ふう」
と。
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清・金埴「不下帯編」巻五より。みなさんが立派な士大夫だったりすると、この下働きの男にかなわないかも知れませんよ。
それにしても、明後日のことはもとより明日のことも考えないとは、月曜日の夜になって
「あわわ、明日は会社に・・・」
と激しい恐怖に襲われることになるのだぞ。まあでも行かなければいいんですけどね。
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