天時始熱(天時、始めて熱なり)(「後漢書」)
さわやかな季節になってまいりました。ベルギーへビール飲みにいくのは難しいので明日香村にハンバーガーでも食べに行くといいかも知れませんね。
だんだん暑くなってきて、体力もないし、顔も痒くなってきたし。ちゃんとした人のふりしているのはもうめんどくさい!

吾輩ハだめ人間デアル。正常化バイアスが働かないので、六月でナフサが・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日、董卓さまは長安城の北掖門から宮中に入ろうとしたのだが、
馬驚不行、怪懼欲還。呂布勧令進、遂入門。
馬驚きて行かず、怪しみ懼れて還らんと欲す。呂布勧めて進めしめ、遂に入門せり。
馬が何かに驚いて進まない。これは変だと怪しんで後じさりしようとすると、警護を兼ねる呂布が勧めるので、ついに門から入った。
その途端、
李粛以戟刺之、卓衷甲不入、傷臂堕車、顧大呼曰、呂布何在。
李粛、戟を以てこれを刺すも、卓衷甲して入らず。臂を傷つけ車より堕ち、顧みて大呼して曰く、「呂布いずこに在りや」と。
待ち伏せていた李粛が長戟を以て刺した。だが、董卓は衣の下に鎧を着こんでいて、戟は入らなかったが、腕を傷つけ、乗っていた車から落ちた。
董卓は後ろを振り向いて、大声で言った、
「呂布、どこにおる! 早く来い!」
呂布は言った、
有詔討賊臣。
詔有りて賊臣を討たんとす。
「詔勅である! 賊臣董卓を討伐す!」
董卓は罵って言った、
庸狗敢如是邪。
庸狗、あえてかくの如きか。
「ばかイヌめ、こんなことまでするのか!」
布、応声持矛刺卓、趣兵斬之。
布、応声して矛を持して卓を刺し、兵を趣(うなが)してこれを斬らしむ。
呂布はその声に応えるように手にした矛で董卓を刺し、兵士らに命じて斬らせた。
主簿田儀、及卓倉頭前赴其尸、布又殺之。
主簿・田儀、及び卓の倉頭、その尸に前赴し、布またこれを殺す。
文書係の田儀と董卓の秘書が、董卓の死体に駆け寄ろうとしたので、呂布はこの二人も殺した。
馳齎赦書、以令宮陛内外。
馳せて赦書を齎し、以て宮陛の内外に令す。
そこへ、大赦の詔書が持ってこられ、宮中の内外に命令された。
これによって、これまで董卓に追従してきた者たちは無罪放免になる。(一族の者はダメで、董卓の老母(九十歳であったという)をはじめ、皆殺しになりました。)
士卒皆称万歳、百姓歌舞於道、長安中士女売其珠玉衣装市酒肉相慶者、塡満街肆。
士卒みな万歳を称し、百姓道に歌舞し、長安中の士女、その珠玉衣装を売りて酒肉を市(か)いて相慶する者、街肆(がいし)に塡満せり。
将校も兵隊たちもみな「ばんざい!」を叫んだ。人民たちは道に出て歌い舞い、長安中の男も女も、所有する宝玉やかっこいい服を売って酒と肉に換え、互いに祝賀会を開く者が、町にも店にもいっぱいになった。
よかったですね。
乃尸卓於市。天時始熱、卓素充肥、脂流於地。
すなわち卓を市に尸す。天時始めて熱、卓もと充肥、脂地に流る。
そこで、董卓の死体は市場にさらしものにされた。この時、季節はちょうど暑くなりかけていた。董卓はもともと肥満していたので、死体から溶け出た脂肪が地面にどろどろ流れ出た。
守尸吏然火置卓臍中、光明達曙、如是積日。
守尸の吏、火を然して卓の臍中に置くに、光明曙に達し、かくの如きこと積日なり。
さらした死体を見守る当番の役人は、火をつけた「芯」を董卓の臍の中に突っ込んだところ、灯火のように朝まで輝いていた。数日の間、燃え続けたということである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「後漢書」巻七十二「董卓列伝」より。「演義」「演戯」ではなく「正史」です。おもしろいでしょう。漢文はこういう場面を書けば、細部を言い尽くさないから、逆に想像力を駆り立てて生き生きします。振り向かれた時の呂布の緊張した得意げな声、董卓の憤怒の顔色など、わくわくしてくるではありませんか。しませんか。
それにしても、脂肪を燃焼させるとは。痩身術として使えるかも知れません。二三日「芯」を突っ込んでおけば、その灯りで読書もできるかも。
コメントを残す