散以為食(散じて以て食と為せり)(「華陽国志」)
米独立記念日だからどうというわけではありませんが、ありがたい政治の話をいたします。ありがたい政治があったこともあるのです。

仲良きことは美しきかな。同盟国は仲良くしよう。たとえ国民に分断が広がるとも。
ところでこの過料は何に使うのだろうか。
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後漢のころ、蜀の巴郡のひと厳王思は、
為揚州刺史、恵愛在民。毎当遷官、吏民塞路攀轅。詔遂留之。
揚州刺史となり、恵愛、民に在り。遷官に当たるごとに、吏民路を塞ぎて轅(ながえ)を攀ず。詔して遂にこれを留む。
江南の揚州の知事となって、人民たちに恵みと愛を与えた。任期が来て異動のために都に帰ろうとするたびに、(留任を願う)地元の役人や人民たちが道を塞ぎ、知事の車の轅(引っ張り棒)を握り締めて動けなくした。このため、朝廷は詔を下して留任させ続けた。
かくして、
居官十八年卒。百姓若喪考妣。義送者齎銭百万、欲以贍王思家。
官に居ること十八年にして卒す。百姓、考妣(こうひ)を喪えるがごとし。義送者、銭百万を齎し、以て王思の家を贍(すく)わんと欲するなり。
十八年間、揚州刺史として在官し、在官のまま亡くなった。人民たちは父母を喪ったかのように悲しみ、その遺骸を郷里の四川州に送り届ける責任者は、ひとびとから預かった百万の銭を持って行った。厳王思は私財を全く集めていなかったので、その助けになれば、という気持ちであった。
生きている間は「父・母」と呼び、亡くなったあとは「考・妣」と呼ぶのが礼の定めです。銭百万がどれぐらいの価値があるのかよくわからないのですが、百万ドル、と考えてみます。本日のレートで1億62百万円! ビッグマックがいくつ買えるだろうか。
だが、
其子徐州刺史不受。
その子、徐州刺史、受けず。
厳王思の息子は徐州知事で、(喪に服するために四川に帰ってきたが)気持ちだけいただいて銭を受け取らなかった。
送吏義崇、不忍持還、散以為食、食行客。
送吏・義崇、持ち還るに忍びず、散じて以て食(し)と為し、行客に食(しょく)せしむ。
葬送の担当役人であった義崇(ぎそう)は、そのおカネを持ち帰ることもできず、広く散財して食べ物に換え、これを旅人や放浪者たちに施した。
「食」は「しょく」と読むと「たべる」、「し」と読むとたべる対象である「たべもの」の意味になります。
「すばらしい! すばらしいですぞ!」
巴郡太守汝南応季先、善而美之、乃作詩。
巴郡太守・汝南の応季先、これを善にして美なりとし、すなわち詩を作れり。
(厳家のある)巴郡の郡長である汝南のひと応季先は、その行為を「善いことで、しかも美しい。(孔子が讃えた古代の人たちのようだ)」として褒め称える詩を作った。
その詩に曰く、
乗彼西漢、潭潭其淵。君子愷悌、作民二親。没世遺愛、式鏡後人。
彼(か)の西漢に乗ずれば、潭潭(たる)その淵あり。
君子は愷悌(がいてい)にして、民の二親と作(な)る。
世を没するも愛を遺し、式(も)って後人の鏡とせり。
西からかの漢水の流れに乗っていけば、
深くたたえられた淵にたどりつく。
(そのように)君子(の厳王思さま)は、(その徳を人民に注いで)優しく、楽しく過ごされ、
人民たちの父母となったのだ。
亡くなった後もその愛情は残り、
それは後世の人たちの真似すべき鏡ともなろう。
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晋・常璩「華陽国志」巻一「巴志」より。「華陽国志」は、「華陽の国の歴史記録」なんですが、「華陽国」という国があったわけではありません。チャイナ古代以来、信仰を集める五岳の一、西岳・華山は陝西省にありますが、その南側(山陽)のことを「華陽の国」とかっこよくまとめてみたみたいです。ただし、「華山の陽」は関中から四川、貴州まで含みますが、この本が対象にしているのは四川のうちさらに巴州と蜀州の範囲に限っているようです。
江南に東晋があった五胡十六国の時代、四川には李氏の、はじめ「成」、途中から「漢」と名乗った国が存在しました。著者の常璩はその国の重臣だった人物で、東晋の名将・桓温が四川征伐に成功したときに、降ってその参謀となった人です。
それはそうとしまして、「こども食堂」は今や「みんなの食堂」と名前を変えて地域の人たちのふれあいの場になっているそうです。当初はとても単純におなかの減った子どもにごはんを食べさせるところだったはずですが、いろんな人たちがいろいろしてこうなっているのでしょう。政府も官民370兆円の投資をするそうですから、そのうち一部を散じて食物を配布し、将来の担い手である子どもに腹いっぱいメシを食わせてはどうか。ネ〇を食うという〇〇人も減るかも。でも、それは自助・共助でやるべきことというのが我が国是、確かに上の義崇の行動も共助ですね。最近反現行政府を隠そうとしていない肝冷庵ですが、これは一本取られましたわい。
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