不如古人(古人に如かず)(「楡巣雑識」)
だんだんダメになってきていると思います。しかし文明は若い者の方が進んでいることでしょう。プラモとかかっこよくて痺れたわたしどもよりも、プラスチックの弊害も知っているに違いない。

むかしはよかったなあ。ニンゲンの文明が低レベルで。今は絶滅しないようにがんばろう。だが、眠い。むにゃむにゃ。水中で眠ってしまい呼吸ができなくなることがあるんじゃぞ。
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清の時代のことですが、広州・陽山出身の貫亭・鄭子超は御史(検察官)であったが、急ぎの用事(おそらく親族の服喪)で辞職して広州に帰った。
大吏聘主講席、聞先已有訂之者、遂力辞不就。
大吏聘(まね)きて講席に主たらしめんとするも、先に已にこれに訂(さだ)むる者有るを聞き、遂に力辞して就(つ)かず。
地方長官は、(彼の経歴から)学校の主任教授に招きたいとのことであったが、実は彼以前に決まった人があったことを聞いて、最後まで辞退し続けてとうとう就任しなかった。
という人である。
洋商劉某乞為其子改正文芸。
洋商の劉某、その子のために文芸を改正せんことを乞う。
欧米諸国との交易に従事して(しこたま儲けて)いる劉某という人がいて、その子の文章を添削してくれるように頼んできた。
郷里の後輩の学問向上のためだと引き受けた・・・のですが、
送贄二百金、鄭峻却之、謂必強我受、即此芸亦不動筆矣。
贄(し)として二百金を送られ、鄭これを峻却し、謂う、「必ず我に受くるを強うるとも、即ちこの芸はまた筆を動かさざらん」と。
謝礼として二百万円を送ってきたので、鄭はこれをきっぱりと返却してしまい、言った。
「むりやりにわしに受け取らせることはできるかも知れんが、そうしたら文学芸術はもう筆を動かしてくれんじゃろう(文学とはそういうものなのじゃ)」
と。
後欲赴都補官、劉又餽幣帛及贐礼。
後、都に赴きて官の補されんと欲するに、劉また幣帛及び贐礼(じんれい)を餽(おく)る。
その後、(親族の喪が明けて)都に戻って官職に応募しようとしたとき、劉はまた(運動資金になるように)おカネと、あわせて送別の贈り物も贈ってくれた。
鄭はこれを一度は受け取ったが、
返幣、貽故友文稿一冊、謂即煩将此贐刻之。吾已全数拝登矣。
幣を返し、故友の文稿一冊を貽(おく)りて、謂う、「即ちこの贐を将いてこれを刻まんことを煩わさん。吾すでに全て拝登を数えたり」と。
おカネを返し、あわせて死んだ友人の遺作集一冊(と送別にもらった贈り物と)を送って、言った。
「いただいた贈り物をおカネに換えて、この本を出版してやってくれませんでしょうか。わたしの方はあなたからの戴き物はすべてありがたく頂戴いたしました」
と。
ああ。
誰謂今人不如古人哉。
誰か謂う、今人は古人に如かざるかな、と。
誰が言ったのだ、「今の人はむかしの人にはかなわないなあ」と。(こんな立派なひとが、現代にもいるではないか)
とのことです。
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清・趙慎畛「楡巣雑識」下巻より。清代のひとにはまだ古人以上の人もいたかも知れませんが、そこからまた二百年、東洋にはもういないのでは。トランプさんのところにはいる?
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