以新易弊(新しきを以て弊(やぶ)れるに易(か)う)
そろそろ交換されるかも。若いもんにはともかく、少なくともAIには取って代わられそうです。

やまんばさまのお力を借りればクマにも勝てる!はず。じじいとかが足を引っ張らなければ。
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「除」(じょ)という字があります。「のぞく」と訓じることになっているので、「排除」とか「除外」の意味はよく分かります。では、「除夜」は?律令時代の官吏の異動である「除目」は?「除官」は新たに役職に任命することをいい、初めて役人になるのを「除拝」という、のですが、これらは「のぞく」とどういう関係にあるのでしょうか。
というのはわたしが悩んだのではなくて、宋の時代の人が悩んでいたんです。
除拝官職、謂除其旧籍。
官職を除拝するは、その旧籍を除くを謂うなり。
「官職を除拝する」と言って新たに役人になったことを言うのは、それ以降は「官」の籍が与えられるので、以前の「民」の籍から「除く」という意味なんじゃよ。
という説がありますが、
不然也。
然らざるなり。
それは大間違いじゃ。
除猶易也。以新易旧、曰除。
「除」はなお「易」のごときなり。新を以て旧に易うを「除」と曰う。
「除」というのは「易」(かえる)と同じような意味なのだ。新しいものを古いものと取り換える、これが「除」だ。
如新旧歳之交謂之歳除。易除戎器、戎不虞。以新易弊、所以備不虞也。
新旧歳の交、これを「歳除」というが如し。「易」に「戎器を除す、不虞(ふぐ)を戒しむ」とあり。新を以て弊に易う、不虞に備うる所以なり。
「易」と言っているのは萃卦・象伝、
君子除戎器、戒不虞。
君子は戎器を除し、不虞を戒しむ。
「戎」と「戒」を間違ってはいけません。そんなところで間違っていると科挙試験の下の下の下の方で落ちてしまいます。「戎器」は武器・兵器のこと、「虞」(ぐ)は「おそれる、心配する、見張る」という意味ですから、「不虞」は「おそれない、心配しない、見張らない」要するに「不意に物事が起こること」です。
立派な人は、武器を「除」し、想定外のことに備えておくものじゃ。
というコトバです。この「除」は、伝統的に「おさめる」と訓じて準備しておくの意だと解しています。
前の年と新しい年が入れ替わることを「歳が除される(かわる)」というのも同様だし、「易経」に「武器を除し、不虞を戒める」と言っているのも、「新しい武器を古い壊れた武器と交換しておく」という意味だと理解できれば、「想定外のことに備えておく」ことの趣旨が理解できるであろう。
なるほど。
階謂之除者、自下而上、亦更易之義。
「階」をこれ「除」というは、下よりして上り、また更易の義なり。
「階段」のことも「除」というが、これも下から上へ、たがいちがいに代わっていく、という意味である。
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宋・沈括「夢渓筆談」巻四より。なるほどなあ。知ってて役に立つようなことでございませんが、「除」は単に「除く」のではなく新旧を交代させる意味なのだ。
「阝」はもともと「階段」「はしご」「段丘」の象形です。「余」は「(把手のついた)針」ですが、ここで使われてるのは「舎」の原字らしく、「除」は「建物の階段」、高床倉庫に昇るためのはしごみたいなのをイメージしていただければいいのかな。階段、はしごは右足・左足互い違いに昇る(降りる)ものなので、新旧を交代させる、さらにそこから古いものを「のぞく」の意味になった・・・ということを言いたいらしいです。
いずれにしろ老人には老人の仕事があった時代とは違って、現代ではわしらはもう除かれるだけですじゃ。いい人採用しないといけませんからね。人の世も。
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