恃人者不久(人を恃む者は久しからず)(「韓詩外伝」)

人を雇用して働くより資本を保有している者のほうが久しいのでしょう。

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戦国・魏の文侯が賢者の狐巻子に問うた。

父賢足恃乎。

父の賢なるは恃むに足るか。

おやじが賢いのは頼りなるかのう。

狐、答えて言う、

不足。

足らず。

全然だめですね。

では、

子賢足恃乎。

子の賢なるは恃むに足るか。

子どもが賢いのは頼りになるかのう。

足らず。

全然だめですね。

以下、父や子を兄、弟、臣に読み替えてください。

兄賢足恃乎。不足。

弟賢足恃乎。不足。

臣賢足恃乎。不足。

「あったま来た」

文侯勃然作色而怒。

文侯勃然として色を作して怒る。

文侯さまは突然、顔色を変えてお怒りになられた。

寡人問此五者子、一一以為不足者何也。

寡人この五者を子に問うに、一一以て恃むに足らずとするものは何ぞ。

わし(「寡人」ほ諸侯の自称)は五つの人についてお前さんに聴いたのに、それぞれ全部頼りにならんと言うのはどういうことであるか。

狐は言った、

父賢不過尭、而丹朱放。子賢不過舜、而聾叟拘。兄賢不過舜、而象放。弟賢不過周公、而管叔誅。臣賢不過湯武、而桀紂伐。

父賢なるは尭に過ぎざるも、丹朱放たる。子賢なるは舜に過ぎざるも、聾叟拘わる。兄賢なるは舜に過ぎざるも、象放たる。弟賢なるは周公に過ぎざるも、管叔誅さる。臣賢なるは湯武に過ぎざるも、桀紂伐たる。

尭ほど賢いおやじはいまいが、息子の丹朱は追放されましたぞ。舜ほど賢い息子はいまいが、おやじの聾叟は捕まりましたぞ。舜ほど賢い兄貴はいまいが、弟の象は追放されましたぞ。周公ほど賢い弟はいまいが、兄貴の管叔は誅殺されましたぞ。殷の湯王や周の武王ほど賢い臣下はいまいが、主君の夏の桀王、殷の紂王に反乱を起こして討伐しましたぞ。

全部伝説ではないか、と言ったりすると、チャイナ古典の虚構、共同幻想が壊れますので言わないことにします。

望人者不至、恃人者不久。君欲治、従身始。人何可恃乎。

人を望む者は至らず、人を恃む者は久からず。君治を欲さば身より始めよ。人何をか恃むべきか。

誰かが来てくれると思っていると来ない。誰かを頼りにしていると長続きしない。あなたがよい政治を行おうと思っているなら、まずは自分自身の行いを慎むことからはじめなされ。

詩経に申しましょう、

自求伊福。此之謂也。

自ら伊(こ)の福を求めよ、と。これこの謂いなり。

「しあわせは自分で探せ」と。これはこのことである。

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漢・韓嬰「韓詩外伝」巻八より。ほんとに相手がキツネだったらおもしろいですね。

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