色黒如墨(色黒きこと墨の如し)(「萍洲可談」)
「今日は子どもの日だから、子どもがやっとけ」
と言うので、肝冷齋族の子どもでありますおいら肝冷童子から、みなさまに問題提起です。
―――ニンゲンであるとはどういうことを言うのであろうか。同じニンゲンであると気づくにはどうすればいいのであろうか。
子どもにはなかなか理解しがたいことでございまちゅなあ。

推力はどうなっているのであろうか。
要らない戦争はしないようにしよう。
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宋の時代のことですが、
広中富人、多畜鬼奴。絶有力、可負数百斤。
広中の富人、多く鬼奴を畜う。絶して力有り、数百斤を負うべし。
広州の金持ちの家には、たいてい「「鬼奴」(きど)といわれるやつらがいる。とにかく力持ちなので、100キロや200キログラムのものは背負うことができる。
「斤」は宋代には、もう今と同じで600グラムぐらい。「数百」と言っているのを「300~400」斤ぐらいだとすると、180キロから240キログラムという計算になります。
この鬼奴ですが、
言語嗜欲不通、性淳不逃徙。亦謂之野人。
言語嗜欲通ぜざるも、性淳にして逃徙せず。またこれを野人と謂う。
言語とか物の好き嫌い、というのはなかなか意思疎通しずらいのですが、性格は純朴で脱走したり場所を変えようとは考えないらしい。別に、ひとびとは彼らを「野人」とも呼んでいる。
彼らは、
色黒如墨、唇紅歯白、髪鬈而黒、有牝牡、生海外諸山中。
色黒くして墨の如く、唇紅にして歯白く、髪は鬈にして黒く、牝牡有り、海外諸山中に生ず。
体色は黒くて墨のようである。くちびるは赤く、歯は白くて、髪の毛はくるくる巻いてパンチパーマになって黒い。メスとオスがいる。彼らは海外のあちこちの島に生息している。
食生物。採得時与火食飼之。累日洞泄、謂之換腸。
生物を食す。採得時に火食を与えてこれを飼う。累日洞泄し、これを「換腸」と言へり。
食べ物はもともとナマモノを食べている。捕獲したときに、火を通したものを与えて飼育をはじめるのだが、数日間ひどい下痢を起こす。これを「腸換え」と呼んでいる。
縁此或病死、若不死、即可蓄。
これに縁りてあるいは病死するも、もし死なずんば即ち蓄わうべし。
この「腸換え」のせいで病んで死ぬやつもいるが、死ななければ飼育することができる。
久蓄能曉人言、而自不能言。
久しく蓄うれば能く人言に曉るも、自ら能く言わず。
長く飼育しているとニンゲンの言葉を理解するようになるが、自分から発言することはできないようである。
また、
有一種近海野人、入水眼不眨、謂之崑崙奴。
一種、近海の野人有り、水に入るも眼眨(そう)せず、これを「崑崙奴」と謂う。
海に近いところの「野人」はおのずから別の種を成している。彼らは水に入っても目をとじることがない。この種を「コンロンやっこ」と呼んでいる。
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宋・朱彧「萍洲可談」巻二より。この「鬼奴」はにんげんでしょうか、否か。作者は広州に長く滞在していたことがあるらしく、南海ものがなかなか面白いです。
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