請速赴任(請う、速やかに赴任せよ)(「倦游雑録」)
若造にやらせておくわけにもいきませんからね。

・・・・・・・・・・・・・・・・
北宋の王介は、「俊爽」(すかっとするすごいやつ)と謳われていたが、
語言多易、人謂之心風。
語言多く易わり、人これを「心風」と謂えり。
言ってることがよく変わるので、人々はそれを「風ごころ」(向きがどんどん変わる)と呼んでいた。
湖州に赴任することになったとき、王安石が送別の詩を贈ってくれた。その結句に云う、
遥想邦人迎下担、白蘋州上起滄波。
遥かに想う、邦人下担を迎うるに、白蘋州上に滄波を起こさん。
遥か赴任先の湖州を想像するに、土地の人たちがおまえさんの乗った駕籠を出迎える時、
名勝地・白蘋州を囲む長江の水が、青い波を立てるだろう。
以風能起波也。
風のよく波を起こすを以てなり。
(おまえさんの心の)風が吹いて波が起こることだろう、というのです。
パワハラかも知れません。しかし、窓口に通報してもこれぐらいではまともに取り合ってくれそうにない。
王介知其意、以破題為篇。
王介、その意を知り、破題を以て篇を為せり。
王介は、王安石のいいたいことを理解して、やり返しの詩を作った。
生若不為上柱国、死時猶合代閻羅。
生きてもし上柱国たらずんば、死するときなお閻羅に代わるべし。
湖州にいても何とか生き抜いて、戻ってきて「上柱国」(宰相)になってやる(つまりお前をおしのける)。
もしなれないで死ぬときは大王をおしのけて、おれが閻魔大王だ。
おまえは閻魔大王みたいなやつだ、というのも言外に言っています。
王安石は笑って言った、
閻羅見闕、請速赴任也。
閻羅闕きたり、請う速やかに赴任せよ。
「閻魔大王は欠員だそうだ。おまえさん、大急ぎで赴任してくれ」
・・・・・・・・・・・・・・・
宋・張師正「倦游雑録」より。暑くて、もうダメだ。ほんとにそろそろ赴任してきます。でも管理職は大変だな。棒で亡者を突いたりする現場の仕事がいいかなあ。七夕で空も涼しく、今日はお盆だし・・・と思ったが、まだ来週だ。しかし新暦の七月七日を以て七夕とはギャグにもなりません。あれは空に秋が来る来月の行事・・・いや、もう季節感なくなったからわからないですね。
コメントを残す