応急而用(急に応じて用うる)(「土風録」)
本日は熱中症的状態のため更新は中止します。

この季節はキケンだ。
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・・・と思ったけど、このことだけは、「急須でお茶を飲もう」としている人には急いで伝えておかないといけないので、更新します。
清代には、お酒の入った壺のことを「注子」と言ったんです。唐の時代から「注子」というものはあるんですが、当時は「偏提」(へんてい)とも言った。宋、明の時代には、
民間呼注子曰自斟壺。
民間、注子を呼びて「自斟壺」(じじんこ)と曰えり。
庶民の間では「注子」のことを「自分一人でお酒を酌むための壺」と呼んだ。
とか
偏提、即今之酒鱉。
「偏提」は、即ち今の「酒鱉」(しゅべつ)なり。
「偏提(へんてい)」はつまり現代の「酒すっぽん」のことである。
という記録があります。按ずるに、
酒鱉之称、以其形似也。
酒鱉の称は、その形の似たるを以てす。
「酒すっぽん」というのは、「偏提」の形がすっぽんに似ていたからであろう。
これで「注子」「偏提」「酒鱉」が同じものだとご理解いただけたかと思います。使用法や形態からして、これが、現代(清代)の「急須」だということがわかります。
一方、「滴蘇」(てきそ)というものがあります。部屋の中でおしっこをするときに使う器です。
当為急須之訛。
まさに「急須」の訛と為すべし。
これこそ、もともとの「急須」が訛ったものである。
宋の沈括が言うには、
有行具二肩、其附帯雑物内有虎子、急須子。
行具二肩有り、その附帯雑物の内に「虎子」「急須子」有り。
旅行用の道具の中は、肩に担げるもの二人分ぐらいにまとめること。それらに附帯させる雑物の中には、必ず「虎子」と「急須子」入れておくこと。
「虎子」は「おまる」のことですが、「急須子」とは?
陸容の「菽園雑記」を見ると、
急須、溺器也。以其応急而用、故名。
急須は溺器なり。その急に応じて用うるを以ての故に名づく。
「急須」というのはおしっこを出す器だ。もう漏れる、という急な時に対応して利用するので、この名前があるのである。
と書いてあります。
今人以暖酒器為急須、飲字誤之耳。
今人、酒を暖むる器を以て急須と為すは、「飲」字これを誤るのみ。
現代人(清の時代)が、お酒を温めるときに使う器を「急須」と呼んでいるのは、「飲」という字についての誤解があるというだけなのだ。
本来、
飲、溺器也。
飲は溺器なり。
「飲」は「おしっこを出す器」のことなのである。
さらに、
呉音須与蘇同、又転急為滴、遂呼為滴蘇。
呉音「須」と「蘇」は同じ、また「急」を転じて「滴」と為し、遂に呼びて「滴蘇」と為す。
江南地方の方言では「須」(す)と「蘇」(そ)は同じ音になる。また、「急」が「滴」に替わった。それで、「急須」が「滴蘇」となったのである。
「急須」「滴蘇」「溺器」が同じものだということがわかっていただけたかと思います。
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明・顧張思「土風録」巻三より。これで急須でお茶を飲んではいけない理由がおわかりいただけましたでしょうか。余計な情報が多すぎてわからん? それは・・・といいかけたましたが、これ以上説明する体力がもう・・・
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