唯識二(ただ二を識るのみ)(「明治東京逸聞史」)
二つも知ってたら十分でしょう。

文明開化が無ければ少なくともこれは無かったのだ。
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明治十三年(1880)の団団珍聞(まるまるちんぶん)第165号に次の詩が出ているという。
流行洋菓売諸方、就中称美風月堂。
流行の洋菓、諸方に売る、就中(なかんずく)美を称す、風月堂。
ちかごろの流行りは洋菓子であり、あちこちで売り出しておる。
その中でもここが美味いと言われるのは「風月堂」じゃ。
独笑品名唯識二、暮牟暮牟糟庭良。
独り笑う、品名ただ二を識るのみなるを、暮牟暮牟糟庭良。
一人笑いをしてしまう、(洋菓子の)品名はたった二つしか知らないことを。
すなわち、暮牟暮牟糟庭良。
はて、これは何でしょう。
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森銑三「明治東京逸聞史」明治十三年より。森先生の解説を聞きます。
―――洋菓子のボンボンが、風月堂から発売されている。カステラの方は、もう江戸時代の中期から江戸でも造られていて、一部には知られていた。明治になって出現したのではない。
ということで、暮牟暮牟=ボンボン、糟庭良=カステイラでした。この「風月堂」は「凬月堂」のことですよ。
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