自然灰

節分だ。明日は売れ残りの恵方巻が手に入るはず。ダメでもマメが食べられる。→対偶をとると、「マメが食べられないときは恵方巻も手に入らない」になる?

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以下の命題の中に、正しいものはいくつあるでしょう。

①魚有睫、及目合、腹中自連珠。

魚に睫有りて目の合するに及ぶは、腹中におのずから珠を連ぬ。

まつげのある魚で、目を閉じることのあるものは、その腹の中におのずとタマがいくつも入っている。

②二目不同、逆鱗、白鰭、并殺人。

二目同じからず、逆鱗、白鰭は、并びに人を殺す。

(魚の)両目の大きさの違うもの、ウロコが尾から頭に向かって生えているもの、ヒレの白いのは、どれも人が(食べると)死ぬ。

③鱉目白、腹下五(一曰丹)字、卜(一曰十)字者、不可食。

鱉の目の白く、腹下に五(一に曰く丹)字、卜(一に曰く十)字なるものは、食らうべからず。

すっぽんの目が白くて、腹の下に「五」(または「丹」)の字、「卜」(または「十」)の字が入っているのは、食べてはいけない。

④蟹腹下有毛、殺人。

蟹の腹下に毛有るは、人を殺す。

腹の下に毛の生えたカニは、人が(食べると)死ぬ。

⑤蛇以桑柴焼之、則見足出。

蛇、桑柴を以てこれを焼けば、すなわち足の出づるを見る。

ヘビを桑の枯れ枝で焼けば、足が出てくるのを観察できる。

⑥獣岐尾、鹿斑如豹、羊心有竅、悉害人。

獣の岐尾なる、鹿の斑の豹の如き、羊の心の竅有る、悉く人を害す。

しっぽが二股に分かれているケモノ、豹のようなまだら模様のシカ、心臓に穴の開いているヒツジ、これらはすべて(食べると)人間に害がある。

⑦烏自死不閉目、鴨目白、烏四距、卵有八字、并殺人。

烏の自死して閉目せざる、鴨の目の白き、烏の四距なる、卵に八字有るは、并びに人を殺す。

自然死して目を閉ざしてないカラス、目の玉の白いカモ、けづめ(本来一本の足に一本)が四本あるカラス、「八」の字のあるタマゴ、これらはすべて人が(食べると)死ぬ。

⑧酒漿無影者、不可飲。

酒漿の影無きものは飲むべからず。

影が映らない酒や水は、飲んではいけない。(濁っているから?)

⑨蛇怒時、毒在頭尾。

蛇の怒時は、毒頭尾に在り。

ヘビが怒っているときは、毒が頭と尾っぽにある。(胴体は無毒になる)

⑩凡冢井間気、秋夏中之殺人。先以鶏毛投之、毛直下無毒。回舞而下不可犯。当以酢数斗澆之、方可入。

およそ冢井間の気は、秋夏これに中すれば人を殺す。先ず鶏毛を以てこれに投じ、毛直下すれば毒無し。回舞して下れば犯すべからず。まさに酢数斗を以てこれに澆げば、まさに入るべし。

だいたいの場合、墓穴や井戸の空気は、秋と夏にこれに中毒すると人が死ぬ。そこで、先にニワトリの毛を取って、これを穴に投げ込んでみる。毛がまっすぐ落ちていけば中毒しない。毛がぐるぐる回りながら落ちていくようなら、無理に入ってはいけない。そのときは、酢を数斗(数十リットル)注ぎ込んでやること。そうすれば入ってよろしい。

⑪頗梨千歳冰所化也。

頗梨(はり)は千歳の冰の化するところなり。

ガラスは、水が氷化して千年経ったものが変化したものである。

⑫瑠璃瑪瑙、先以自然灰煮之令軟、可以彫刻。自然灰生南海。

瑠璃・瑪瑙、まず自然灰(じねんばい)を以てこれを煮て軟ならしめて以て彫刻すべし。自然灰は南海に生ず。

ラピスラズリやメノウは、最初に「自分で燃える灰」の熱で沸かしたお湯で煮ると軟らかくなるので、彫刻することができる。「自分で燃える灰」は南シナ海で採れる。

「自然灰」は臨界到達後の放射性物質かも。

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唐・段成式「酉陽雑俎」巻十一「広知篇」より。「知識を広げる」篇・・・ですか。おそらく正しいものは一つも無いと思います。⑩が行けるかも、と思ったが実験してみる気にはなりません。みなさんやってみて。

しかしいろんなもの食べてるなあ。その点には関心しますね。

わずか1200年ほど前の知識人のみなさんがこんな体たらくとは、東洋思想はやはりダメだな。

〇クレタ人はうそつきだ、わたしはクレタ人だ。

〇ソクラテスは神だ、わしはソクラテスじゃ。

〇インディアンはウソつかない、わたしはインディアンではない。

これならどれか一つぐらいは正しいのでは?
―――2023.2.3
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