入夜香烈(夜に入りて香烈(はげ)し)(「竹窓随筆」)
ほんとかなあ。複雑な現代社会ではいろんな理由があるのでは。

こいつもいい香りがするという。
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明の時代のことですが、
庭中百合花開。昼雖有香澹如也。入夜而香始烈。
庭中に百合花開く。昼、香り有りといえども澹如たり。夜に入りて香り始めて烈(はげ)し。
庭にユリの花が咲いた。昼間も香りがするのだが、淡いものである。しかし、夜になると、香りは突然きつくなるのだ。
これは何故であろうか。
夫鼻非鈍於昼、而利於夜也。白日喧動、諸境紛雑、目視焉、耳聴焉。鼻之力為耳目所分、而不得専也。
それ、鼻は昼に鈍にして夜に利(と)きにはあらざるなり。白日は喧動し、諸境紛雑して。目は視、耳は聴けり。鼻の力、耳目の分ずるところと為り、専らなるを得ざればなり。
まあ、鼻が昼間は鈍感なのだが夜になると敏感になる、ということではなかろう。昼間はがやがやうるさく回りが動き回り、あちらもこちらも混乱していろんなことが起こっているから、目はそれを見なければならないし、耳は聞かなければならない。鼻の力は、耳・目と分担しなければならず、集中することができないのである。
「荘子」達生篇にいう、
用志不分、乃凝於神。
志を用いて分ぜざれば、すなわち神に凝す。
志を持って一点集中するなら、精神が凝縮される。
そうすると長生きでもなんでも思いのままだ。
信夫。
信なるかな。
これは本当のことである。
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明・雲棲袾宏「竹窓随筆」より。明の時代はそうだったかも知れませんが、現代でもユリの花は本当に夜になると香りがきつくなるのでしょうか。それは、現代では、人間の方の集中力よりも、気温や湿度の問題ではないかと思うのですが・・・。とはいえ、昼間に気づかなかったことを、夜や一人でぼけーとしているときに気づくことはよくあります。みなさんもそんな時間を必ず毎日作ってみよう。
なお、今日も昼間からたくさん食った。夜になって、むかし一緒に仕事した人と会って、すごい飲み食いしたので、深夜になって一人になったら、さらに大変になっていることに気づく。明日からはこんな間違い二度と起こさないから大丈夫ですけど。