9月16日 現世からの逃げ足速くなる

可速去矣(速やかに去るべし)(「酉陽雑俎」)

まことに速やかに去るべき現世ですが、今日はまたすごく暑かった。熱中しかけた。

暑い日などには友だちになりたがってくるかも知れませんが、こいつを見かけたら逃げよう。

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むかしも暑い時はあったようです。

唐の元和年間(806~820)のこと、史秀才なる人がいて、かつて仲間たちと、陝西の華山に行った。

時暑、環憩一小渓。

その時、

忽有一葉大如掌、紅潤可愛、随流而下。

「いい葉っぱだなあ」

史独接得、置懐中。

葉っぱが好きなんでしょう。

坐食頃、覚懐中漸重、潜起観之、覚葉上鱗起、栗栗而動。

「これ、まずいやつだぞ」

史驚、棄林中、遽白衆曰、可速去矣。

「はあ?」

とみんないぶかしんだのですが、史秀才はわき目もふらずに逃げて行く。

須臾、林中白煙生、彌于一谷中。

仲間たちも異常に気付き、史のあとを追いかけて逃げて行くと、

下山未半、風雷大至。此必龍也。

・・・なんで龍と結論付けるのか、科学的根拠はよくわかりません。

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唐・段成式「酉陽雑俎」巻十五より。暑いと変になってマボロシを見てしまいますからその類かも知れません。龍の存在は否定しませんが、植物が動物になるなんてなあ。

それにしても、自分で何か仕出かしておいて黙って逃げ出して行くやつが多い中、「速く逃げた方がいいよ」と教えてくれるとは良心的です。みなさんも何か仕出かしたときは、忠告だけはしていきましょう。

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