必作奸弊(必ず奸弊を作(おこ)す)(「牧民心鑑」)
暑いんでもうイヤになってきたので、投げやりです。こんなものでも読んで、ほんとにそんなことできるならやってみてください。

己を律することに長けていたといわれるしかのすけだ。自律神経が強かったのだ。
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明の時代のことなんで、現代のすぐれた文明ではそんなことないんでしょうけど、
人之猾者奸必作、事之冗者弊必多。
人の猾なる者は奸必ず作(おこ)り、事の冗なる者は弊必ず多し。
ずるがしこい人間がいれば、必ずよこしまなことをする。ややこしい事務があれば、必ず問題が多く発生する。
ふんふん。そうかも知れませんが、AIさえあればすべて克服できるでしょう。
しかし、むかしはAIが無かったので、知事さんや市長さんは悩みました。
自非有至公至明之能、豈能至無奸無弊之地。
至公至明の能有るにあらざるよりは、あに能く無奸無弊の地に至らんや。
すごく公正・すごく明察の能力のある人でなければ、よこしまなことや問題事項の無い状態になることができるだろうか。(できるはずはない。)
だが諦めてはいけません。
苟有志、豈為難哉。
いやしくも志有れば、あに難しと為さんや。
かりそめにもやろうというキモチがあれば、難しいことはないはずなのだ。
ふんふん。
必先律己以至廉、処事以至公、察事以至明、馭下以至厳。
必ずや先ず、己を律するに至廉を以てし、事を処するに至公を以てし、事を察するに至明を以てし、下を馭するに至厳を以てせよ。
まずは、このことから努力せよ。
自分についてはすごく清廉潔白に行動すること。
事案を処理するときにはすごく公正にすること。
事態を認識するときにはすごく明確に観察すること。
部下を管理するにはすごく厳格にすること。
この四つの「至」が手がかりだ。
・・・あとのことはやっといてもらえばいいのですが、部下を管理するのにすごく厳格に「される」方はイヤですね。
凡有号令必先丁寧教戒、以破其機謀。
およそ号令有れば必ず先ず丁寧に教戒し、以てその機謀を破れ。
何か命令しなければならないことがあれば、まず最初に(担当者や相手方に)やり方やしてはならないことを丁寧に教え戒しめ、それによってそいつらのはかりごとを打ち破れ。
新しい事が始まると、必ず①それによってもうけよう②うまく逃げようという「はかりごと」を考えるやつが出てきますから、先に封じておかねばならない。
或有所行、必加潜密察訪、以観其処置、処置稍有小弊、即痛縄之。懲一人以戒多人、察一事以戒余事。
あるいは行うところ有れば、必ず潜密の察訪を加え、以てその処置を観、処置にややも小弊有れば、即ちこれを痛縄せよ。一人を懲らして以て多人を戒め、一事を察して以て余事を戒むるなり。
何かを実行させる時には、必ずひそかにその実行状況を細かく見て回れ。どういうふうに処理されているかを調べて、処理に小さな問題が少しでも見られるようなら、すぐにきっつい導きをしなければならない。一人を懲らして多数を戒め、一事を観察して他のことも戒めるのだ。
われわれは孔子や顔回のようにすごく有能、というわけではないのだが、
能如是則人知懼、而弊不敢作矣。
よくかくの如くすればすなわち人懼るるを知り、弊敢えて作さざらん。
よくこのように努力すれば、その結果として担当者や相手方はヤバいことに手を出すとまずいとわかり、意図して問題を起こすことはなくなるであろう。
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明・朱逢吉「牧民心鑑」絶奸弊章。むかしの人はえらいですね。ほんとにみんながこんなことしてたのなら。
今の人はみんながみんなこんな風にはできないので、必ず先ずは岡本全勝さんの本を読んで、明るくムリせず仕事をしよう。ムリすると管理職も係長もみんな壊れてしまいます。