8月10日 想像を絶する厳しさなのだ

晩必流涕(晩に必ず流涕す)(「禅関策進」)

腹が減ると涙も出ます。

タヌキも逃げ出す厳しさじゃ!

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宋のころ常州の伊庵にいた有権禅師は、臨安のひとであったが、若くして出家し、

用功甚鋭。

至晩必流涕曰、今日又只恁麼空過。未知、来日工夫如何。

と言うのであった。

そのうち、どんどん修行に熱心になって、

師在衆、不与人交一言。

わたしも、修行ではないのですが、あまり人と会話しませんので親近感が湧いてきました。

禅師は、

夜坐達旦、行粥者至、忘展鉢。

お鉢が置いてないとおかゆを入れてもらえません。

隣僧以手触之、師感悟。

それで、おかゆがもらえました。

曰く、

引得盲亀上釣船。

目の見えないカメが大海原に漂っている。彼は三千年に一回だけ、波間から頭を出す。そのカメの頭が、これも大海中を漂う板切れの穴にすっぽりと入る確率は何分の一であろうか。―――それが、われら生命体が長い輪廻の中で、仏法に出会える確率と同じなのである。

と感謝したという。

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明・雲棲袾宏「禅関策進」及び宋・普済「五燈会元」巻二十より。おかゆをもらえずに腹が減ったままなら、「なぜ教えてくれなかったのだ、ぎぎぎぎ(←歯をきしませる音)」とすごい恨みが残ってしまいますから、修行者としては失格です。そこを助けていただいたのだから、たいへん感謝しなければなりません。

しまった! 今日もただこんなことをしているうちに一日を空しく過ごしてしまいました!ああ、どうすればいいのだ・・・。

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