其鼻将落(その鼻、まさに落ちんとす)(「酉陽雑俎」)
ときどきはこういうバカげた話もしませんと、気が詰まってしまいますよね・・・、え?昨日も一昨日もその前もずっとお前の話はバカげている?

ウサギ子は不味いでにょろん。
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東洋の昔の話してるんですから、バカげているに決まっているでしょう。何しろ儒教や仏教しか知らないやつらなんですから。みなさんのように新自由主義なんて知らないんです。
唐のころ、馮担なるひとがいた。
常有疾、医令浸蛇酒服入、初服一甕、子疾減半。
常に疾有り、医、浸蛇の酒を服入すれば、初めて一甕を服するに、子の疾半ばを減ず、と令す。
病弱で、いつも何かしら体の不調を訴えていた。医者は、「「ヘビを浸した酒」を飲めば、最初の一甕で、おまえさんの病は半分減るぞ」と教えた。
そこで、
令家人園中執一蛇、投甕中、封閉七日。
家人をして園中に一蛇を執らしめ、甕中に投じて封閉すること七日なり。
家の者に庭でヘビを一匹捕まえさせ、これをカメの中に放り込んで密閉し、七日間放置した。
「開くぞ」
及開、蛇躍出、挙首尺余、出門因失所在。其過迹、地墳起数寸。
開くに及んで、蛇躍出し、首を挙ぐること尺余、門を出でて因りて所在を失う。その過迹は、地墳起すること数寸なり。
カメを開けてみると、ヘビは元気よく飛び出して来た。地上の落ちると30センチ以上頭をもたげていたが、そのうち門から出ていき、どこに行ったのかわからなくなってしまった。
ヘビ酒の威力は当のヘビにも効くようです。
郎中の陸紹が言うに、
嘗記一人浸蛇酒、前後殺蛇数十頭。一日、自臨甕窺酒、有物跳出噛其鼻、将落。
嘗て一人の、蛇を酒に浸さんとして、前後に蛇数十頭を殺すものを記す。一日、甕に臨みて酒を窺うに、物有りて跳ね出(い)でてその鼻を噛み、まさに落ちなんとせり。
その話を聞くと、以前、ヘビを浸した酒を造ろうとして、十何匹もヘビを殺した人がいたのを思い出す。(ヘビをカメに入れてかなり経った)ある日、カメの蓋をあけて酒の状況を覗き込んだところ、何かが跳ね上がってその人の鼻を噛んだ。その人の鼻はほとんどちぎれてしまいそうになった。
「うわー、なんなんだ!」
視之、乃蛇頭骨。因瘡毀其鼻如劓焉。
これを視るに、蛇の頭骨なり。因りてその鼻を瘡毀して劓(び)せられたるが如くせり。
よくよく見ると、ヘビの頭の骨がかじりついていたのだ。それで、その人の鼻を傷つけ、まるで鼻きりの刑に処せられた人のようになったのである。
骨になっても仕返しだ。
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唐・段成式「酉陽雑俎」巻十五より。そこまで追い詰めるとヘビでさえ仕返しするんです。人間、特に国民を追いつめるとどうなるか。・・・少しマジメな話のような気もしませんか。