良才不隠世(良才は世に隠れず)(「陶淵明集」)
昨日は風に吹かれる雲のように、過ごしておりました。

誠実に生きているのでございます。江湖で。
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晋の時代のことですが、殷鉄は、晋安の南府長史の掾(幕僚)として尋陽に棲んでおったので、何度も会っていたのだが、日の出の勢いの劉大尉(後に宋を興す劉裕である)の参軍として建業に移ることになった。
そこで彼に詩を作って贈ったのである。
曰く―――
若いころからの友だちのように仲良しだったなあ。
一回会っていろいろ話し込んで、二泊三日になってしまったことがあった。
そうしているうちにどんどん仲良くなって、
去年、わしが新しい家に移ったので
家が近くなってからは、
杖をついて好きな時に出かけて、
夜になるまで話しこんだものであった。
話したり黙り込んだり。だが、お互いの仕事が違うので、
どこかで別離の時が来るとは思っていたが、
この春にその時が来るとは、予想していなかったのだ。
飄飄西来風、悠悠東去雲。
飄飄たり、西来の風。悠悠たり、東去の雲。
さわさわと風が西から吹いてきたので、はるばると雲は東に流れていく。
山川千里外、言笑難為因。
山川千里の外には、言笑も因を為し難からん。
山と川を隔てた千里のかなたには、語ったり笑ったりというよすがは無いであろう。
しかたのないことである。なぜなら、
良才不隠世、江湖多賤貧。
良才は世に隠れず、江湖には賤貧多し。
すぐれた人材は世間から隠れていることができないのだ。わたしどものような賤しく貧乏なものは、世俗の川やら湖のほとりにうじゃうじゃとおるのだが。
この先、
脱有経過便、念来存故人。
脱(もし)、経過の便有れば、念来(おも)え、故人の存するを。
もしこちらに便を寄こす機会があったら、友だちがいたなあ、と思い出してくだされよ。
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晋・陶淵明「与殷晋安別」(殷晋安と別る)より。わたしどもはいつも江湖にぶくぶくと溺れかけておりますよ。良質の人は引っ張られて大変みたいです。

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