変獣定期(獣に変ずるに定期あり)(「東軒述異記」)
関西に行く用が無くなったので今日は関東でまったりだ。

おれも選択肢ではないのか、で、ぶー。
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関西に行かなくてよくなったので、ほっとしました。知らないところに行くといろいろ怖ろしいことがありますからね。
今日はまったりしていたら、清の時代、雲南・趙州における重大な事件記録を目にした。
土司(地元民のリーダー)の楊なんとかという者は、
能変三獣。
よく三獣に変ず。
三種類のケモノに変化するのであった。
このことは、
土人知之。
土人これを知れり。
地元のやつらの間ではよく知れ渡っていた。
まず、トラに変化します。関西人にも多いですよね。今回、これか猛牛に襲われる可能性もあったのです。危なかった。
至変虎之期、逐家比戸倶閉門不出、予開城門。彼則望深山騰躍而去。
虎に変ずるの期は、逐家比戸、ともに閉門して出でず、あらかじめ城門を開く。彼すなわち深山を望みて騰躍して去る。
「逐」は「逐次」と熟するように、「一つ一つ順に」の意。「比」は「ならぶ」です。
彼がトラに変化する時は、どの家もどの家もみな一並びに門を閉めて外出しない。そして、あらかじめ、町の門を開けておく。彼は、遠い山を見て、飛び上がり躍り上がりしながら(町を出て山に)入っていく。
この間、誰も彼に遭遇しないようにしているので、誰もケガをしません。
一宿即返、返則仍為人。
一宿即ち返り、返ればよりて人と為る。
一晩たつと還ってきます。還ってきたときにはもう人間に戻っているそうです。
次に、
若変驢、則土人置薌豆草具於通衢、恣啖一飽。
驢に変ずるがごときは、すなわち土人、薌豆草を置きて通衢に具え、ほしいままに啖らいて一飽す。
「薌」(きょう)は「いい匂いのする草」のこと。
ロバに変化する時がある。この時は、地元民たちは、香りのいい豆草を通りに置いておく。すると、彼は腹いっぱいそれを食って食べ飽きる。
すると、人間に戻る。
変猫不過窃肉食之、須臾則為人。
猫に変ずるは肉を窃みてこれを食らうに過ぎず、須臾にすなわち人と為る。
ネコに変化する時があるが、その時は肉片を一切れ盗み食うだけである。あっという間に人間に戻るのである。
サザエに追い回されて包丁でヤラれないように気をつけてほしいものですね。
云係祖伝、世世如此。
云うに、祖伝に係り、世世かくのごとし、と。
彼の言うところでは、このような能力は祖先から受け継いでいるもので、代々こうなのだ、ということである。
遠い先祖のころは隣人を食べたり殺されたり、いろいろ問題もあったそうですが、今では、
其変獣亦有定期、故得備之。
その獣に変ずるにもまた定期有り、故にこれに備うるを得るなり。
ケモノに変身する時期が一定になっているので、みんな準備ができるようになった。
とのこと。近代化されているようです。
また、この地域は呪術(「蠱」)が盛んであるが、
婦人尤甚。毎与人交好、或此人有遠行、必蠱之、至期不帰則死。
婦人もっとも甚だし。つねに人と交好するに、あるいはこの人の遠行する有るに、必ずこれに蠱し、期に至りて帰らざればすなわち死せしむ。
特にオンナがすごいのだ。オンナは誰かと仲良くなって交わると、この男が遠いところに行かねばならなくなったときに、必ずこの男に、約束の時期に戻らなければ死ぬように呪(まじな)いをかけるのである。
チャイナ本土の江南地方から、ある男が商売のために雲南に入った。地元で活動している間に、地元女と仲良くなった。
やがて江南に帰ることとなり、男は「必ず戻る」といい加減なことを言った。女は、
臨別云、我已毒君矣。如期不帰、必腹脹。則速還。如逾月、則不可救。
別れに臨んで云う、我すでに君の毒せり。もし期して帰らざれば、必ず腹脹(ふく)れん。すなわち速やかに還れ。もし月を逾ゆれば、救うべからず、と。
オンナは別離の際に言った。
「あたしはもうあんたに呪いを仕掛けているからね。もし約束の期日までに戻らなければ、必ず腹が膨らんでくる。そうしたらすぐに戻ってくることだね。そのまま一か月も放っておいたら・・・もうどうしようも無くなるからね」
ひいっひっひっひー。
やがて、
其人至期、果腹脹、逡巡不帰。
その人、期に至り、果たして腹脹るるも、逡巡して帰らず。
その男は、約束の時期になると、確かに腹が膨らんでくるのを感じた。しかし、(実はこちらに家庭もあったので)決断できずに戻らなかった。
ひと月ほど苦しんだあと、
腹裂而死。
腹裂けて死す。
腹が破裂して死んだのである。
視其腹中、有餵豬木槽一面。真怪事也。
その腹中を視るに、餵豬(だいちょ)の木槽一面有り。真に怪事なり。
破裂した腹の中には、ブタの餌を入れる木の桶が一つ入っていたというのである。本当に不思議な出来事であった。
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清・東軒主人「述異記」巻下より。真に怪事なり、というとおり、普通に腹の中にはブタのエサ桶は入っていません。不思議だ。
しかし、わたしも、昨日も今日も炭水化物をほんの少し多く摂っただけなのに、おなかが破裂しそうに苦しいです。何か恐ろしい呪いを受けているのかも知れません。もしかして、あのオンナか? あるいは無意識のうちに定期的にブタに変じているのかも。ぶふう。