藿食者何与(藿食の者、何ぞ与(あずか)らん)(「説苑」)
「藿」(かく)はマメ類の葉っぱ。マメの葉を食う、というのは貧しい、身分の低い者のことです。肉も食ってみたいものである。

肉を食って、がんばってください!大谷さんも。
いいことばではありませんか。事後・局外にこれを論ず。「酔生夢死」みたいで、これなら楽ちん。
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春秋の時代、
晋献公之時、東郭民有祖朝者、上書。
晋の献公の時、東郭の民に祖朝なる者有りて、上書す。
晋の献公(在位前676~前651)の時代に、首都の東の区域に住む人民に祖朝というやつがいて、文書を奉って意見を言った。
草茅之臣東郭民祖朝、願請聞国家之計。
草茅の臣、東郭民祖朝、願わくば請う、国家の計を聞かんことを。
「草や茅の家に住む卑しい臣である東の区域の人民・祖朝はお願いがございます。どうぞ、公のお考えになる国家の計画をお教えください」
献公は使者を遣わして(つまり自分で、ではなく)告げさせしめた。
肉食者已慮之矣、藿食者尚何与焉。
肉食者すでにこれを慮れり、藿食者なお何ぞ与(あずか)らん。
---肉を食っている(えらい)やつらとその問題はすでに議論したのじゃ。マメを食うやつらは特に関わらなくてよいのじゃ。
「なんと!」
祖朝対曰、大王独不聞古之将曰桓司馬者。
祖朝対して曰く、大王、独り聞かざるか、いにしえの将、桓司馬と曰える者を。
祖朝は(使いの者に)対して言った、
「うちの大王さまはご存じないのか、いにしえの武将、桓司馬というひとのことを」
・・・むかし、ある君主の馬車を御する者(「御」(ぎょ))は「車」と呼ばれた。ところが、君主の横に乗って護衛する者(「驂」(さん))からも「車」と呼ばれたので、御者は驂(原文でははっきりしないのですが、こちらが桓司馬でしょう)に向かって、「なぜおまえさんに「車」と呼ばれなければならんのか。越権ではないか」と異議を唱えた。すると、「驂」の桓司馬は言った、
「御者のおまえさんは、馬の頭をきちんと前に向けて走らせればよい。きちんと走らせないと、道路にいる人をびっくりさせてしまうだけだ。だが、
必逢大敵、下車免剣、渉血履肝者、固吾事也。子寧能辟子之轡、下佐我乎。其禍亦及吾身、与有深憂、吾安得無呼車哉。
必ず大敵に逢えば下車して剣を免じ、血に渉り肝を履むは、もとより吾が事なり。子、なんぞよく子の轡を辟して、下りて我を佐(たす)けんや。その禍はまた吾が身に及び、与かりて深憂有り、吾いずくんぞ得て車と呼ぶ無からんや。
すごい敵に出会ったときに、必ず馬車から降りて剣を抜き、血の中を移動し地面に落ちた肝臓を踏みながら戦うのは、わしの仕事じゃ。そのとき、おまえさんは馬のくつわを手放して、馬車から降りてわしを助けることができるかな。(そんなことをしたら主君を逃がす者がおらず、)おまえさんが馬車から離れてしまうことがあれば、その被害はわしの仕事も台無しにしてしまう。だから、わしはおまえさんの仕事に深い関わりを持ち、おまえさんのことを「車」と呼ばざるをえないのじゃ」
と。
これが桓司馬のお話でございます。
今大王曰、肉食者已慮之矣、藿食者尚何与焉。設使食肉者一旦失計于廟堂之上、若臣等之藿食者、寧得無肝胆塗地于中原之野与。其禍亦及臣之身。
今、大王曰く、「肉食者すでにこれを慮る、藿食者はなお何ぞ与からん」と。設使(たとえ)ば食肉者の一旦廟堂に計を失えば、臣等の藿食者のごときは、なんぞ肝胆を中原の野に塗地する無きを得んや。その禍、また臣の身に及ぶ。
今、大王さまがおっしゃるには、
---肉を食っている(えらい)やつらとその問題はすでに議論したのじゃ。マメを食うやつらは特に関わらなくてよいのじゃ。
と。もしその肉を食っているやつらが、ある日、国の閣議室で失敗したとすると、わたしどもマメを食う者は、(敵国との間の)原野の中で、肝臓や胆臓を大地にまき散らし、塗りつけて死んでいかねばならないのですぞ。その失敗は、わたしども自身にも関わってくるのでございます。
臣与有其憂深、臣安得無与国家之計乎。
臣、その憂いに深く与かりて有り、臣いずくんぞ国家の計に与かる無きを得んや。
わたしどもは、(君主やえらいやつらの)心配することと深く関わっているのです。どうしてわたしどもが、国家の経略について関わる必要がないといえましょうか。
それを聞いて、献公は祖朝を呼び、三日間国家の経略について話し合ったのであった。
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漢・劉向「説苑」善説篇より。わたしも祖朝にように思って、為政者のところに行き、説明を求めた。
「国家の経略について三日間話し合いたい」
と申し上げたのだが、為政者の前に肉食者が出てきて
「あー、きみは帰りなさい」
と言われたので、「はあ」と言って帰ってきました。よく考えたら別に言いたいこともございません。気にしないでおきますので、為政者のみなさま、肉食者のみなさまは我らの代表じゃ。よろしくお願いいたしますぞ!
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