不食酒肉(酒肉を食らわず)(「宣室志」)
体重増もなんだか止まらないんです。膝も痛くなってきました。もうダメだ。・・・でもまた次があるみたいです。

肉食うな、でぶー。
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宋の時代のことですが、いにしえの陳・蔡のあたり(河南)に竹季貞というひとがいました。
卒十余年矣。
卒して十余年なり。
もう亡くなって十数年が経った。
里人趙子和卒、数日忽寤、即起馳出門。其妻子驚前訊之。
里人・趙子和卒し、数日にして忽ち寤め、即ち起きて馳せて門を出づ。その妻子驚きて前にしてこれに訊ぬ。
同じ集落の趙子和というひとが亡くなった・・・が、数日後に突然目を覚まし、すぐに起き上がって門から走り出た。その女房子どもは驚いて、前に回って「いったい何処に行こうとしているのか」訊ねた。
子和(のはず)は答えた、
我竹季貞也。安識爾。今将帰吾家。
我、竹季貞なり。いずくんぞ爾を識らん。今まさに吾が家に帰らんとす。
「わしは竹季貞じゃ。どうしておまえたちのことがわかろうか。わしはこれから自分の家に帰るところじゃ」
その話し方や声は、子和のものではなかった。それでも、妻子は子和(のはず)のあとをついて、竹家に至った。
竹家では、もちろん、
以為狂疾、罵而逐之。
以て狂疾と為し、罵りてこれを逐う。
「こいつはキ〇ガイだ」と怒鳴りあげて追い払おうとした。
子和(のはず)は言った、
我竹季貞、卒十一年、今乃帰、何拒我耶。
我は竹季貞、卒して十一年、今すなわち帰れるに、何ぞ我を拒むや。
「わしは竹季貞じゃ、死んで十一年になるが、今こそ家に帰ってきたというのに、何故わしを拒絶するのじゃろうか!」
其語音果季貞也。験其事、又季貞也。
その語音果たして季貞なり。その事を験するに、また季貞なり。
そのしゃべり方や声は、どう考えても確かに季貞のものだ。いろいろ季貞しか知らなさそうなことで験してみてもどうやら季貞らしいのである。
「たしかに季貞かも・・・」
竹家の方でも驚いて、両家ともに、季貞(?)に説明を求めた。
季貞(?)が言うに、
我自去人世、迨今且一紀、居冥途中、思還省妻孥、不一日不忘。然冥間毎三十年即一逝者再生。
我、人世を去りて、今に迨(およ)びてまさに一紀ならんとするに、冥途中に居りて還りて妻孥を省みんと思い、一日として忘れざるなり。然るに冥間では三十年ごとに即ち一逝者再生す。
「わしが人間世界を去ってから、今は木星が空を一周する「一紀」(12年)になろうとしているわけじゃが、この間、あの世におって、女房や子ども、お前たちに会いたいと思わなかった日は一日として無い。しかし、あの世では、死んだ人間がこちらに戻ってくるのは三十年後ということになっておるのじゃ。
ところが、
昨者吾啓請案拠、得以名聞冥官、願為再生者。既而冥官謂我。
昨者、吾、請案拠に啓して、得て名を以て冥官に聞し、再生者たらんことを願う。既にして冥官我に謂えり。
昨日、わしは請願書を持って受付に行き、あの世の役人に名前を告げて再生したいと願い出ておった。すると、しばらくして役人はわしに対して言った。
「戻りたがらない者の方が多いのに、変わったやつじゃな。ちょうど、
同里趙子和者、卒数日。仮其殻還魂。
同里の趙子和なる者、卒して数日なり。その殻を仮りて魂を還さん。
同じ村の趙子和というやつが死んで数日経ったところじゃから、そいつの亡骸を借りて、お前の魂を返してやろう」
そう言って、
即遣使送我於趙氏之舎。我故得帰。
即ち我を遣りて趙氏の舎に送るらしむ。我、故に帰るを得たり。
すぐに使いの者を同行させて、わしを趙氏の家に送らせたのじゃ。というわけで、わしはこの世に帰ってきたわけ。
「なーるほど」「よーくわかりました」「納得ね」
と言ったかどうか知りませんが、これ以降、季貞(らしい)は、竹家に引き取られることになった。しかし、「やっておかなければならんことがある」と言って、そのままどこかに出かけてしまった。
彼は、
不食酒肉、衣短麤衣、行乞陳蔡汝鄭間。緡帛随以修仏像、施貧餓者。後還家、至今尚存。
酒肉を食らわず、短麤(たんそ)の衣を衣(き)、陳・蔡・汝・鄭の間を行乞せり。緡帛随えば以て仏像を修め、貧餓者に施す。後家に還り、今に至るもなお存す。
飲酒と食肉をせず、短くて粗末な服を着て、陳から蔡、さらに汝州や鄭州(河南の南部)の間を乞食をしながらさまよっていた。糸と布を手に入れると、すぐに仏像の刺繍を作って、その売り上げで貧しく飢えた人たちに寄付した。
しばらくそんな暮らしをした後で家に帰ってきて、今もなお家にいる。
今も、国共内戦や文革を越えてまだ生きているというのか。
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宋・張読「宣室志」巻六より。やっぱり帰ってきてしまうんですね。趙子和の方は「どうぞどうぞ」と肉体を譲ってくれたそうであるから、希望が通るのであろうか。誰か確かめてきて・・・。
テレビに出るとは。サインでももらっておけばよかったかも。(←テレビさま信仰)
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