以事去官(事を以て官を去る)(「括異志」)
四月になっても仕事あるのかな。

おれたちヒヨコの時代が来るでピヨ、早くそこ退けでピヨ・・・とみんな思っているかも。
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宋の呂元規というひとは、治平年間の初めごろ、広南東路の警察責任者であった。その役宅の裏には中庭があり、亭(あずまや)があって、
亭下植茘枝数株。
亭下には茘枝数株を植えたり。
あずまやの蔭には、ライチの木を数株植えてあった。
夏五月、実尽丹、翌日将召賓僚開樽以賞之。
夏五月、実悉く丹、翌日まさに賓僚を召して開樽し、以てこれを賞せんとす。
五月の初夏の候、ライチの実がすべて赤い色にいろづいた。呂は、翌日に、同僚や部下を呼びよせて酒樽を開き、ライチの実の色と味を鑑賞することにした。
其亭暮則扃鐍、人迹所不至。
その亭は暮るればすなわち扃(けい)鐍(けつ)せられ、人迹の至らざるところなり。
そのあずまやは、日が暮れるとカンヌキが掛けられ、人間の入ってこれる場所ではなかった。
詰旦啓戸、無一実在枝。但見殻核盈地。
詰旦、戸を啓くに、一実も枝に無し。ただ見る、殻核の地に盈てるを。
翌朝、あずまやの下の戸を開いてみたところ、なんと!・・・枝には一個の実も残っておらず、ライチの殻と種が地面いっぱいに転がっているばかりであった。・
于板壁題詩一絶。
板壁に詩一絶を題す。
あずまやの板の壁にはこんな詩が書きつけられていた。
我曹今日会家親、手把洪鍾飲数巡。満地狼藉不知暁、茘枝環是一番新。
我が曹、今日、家親に会し、手に洪鍾を把して飲むこと数巡なり。満地の狼藉暁を知らず、茘枝またこれ一番新たなり。
わしの仲間たちは今日、親族や家族と再会した。
そこで宴会、手にどでかいさかずきを執って飲む。それを何回か繰り返した。
地面いっぱいにオオカミの寝床のように(殻とタネを)取り散らかしているうちに、夜明けが来たみたいである。(そろそろ引き上げよう。)
ライチもまたこれがとにかく新鮮なのだ。
呂はその文章を穴のあくほど見つめていたが、やがて、
歳余、呂以事去官。
歳余、呂、事を以て官を去る。
翌年、呂は何やら理由をつけて役人を辞めてしまった。
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宋・張師正「括異志」巻三より。ライチを食ったのは、人か人で無いのか、生きている者なのか生きてさえいない者なのか、相手が何ものかわからないのだからどうしようも無いですよね。マジメに生きていてはいかん、との結論に至ったのでは。
安定してしまっていると不安定になったときに困ってしまいますが、不安定だとまあこんなものかと安定してますから、不安定こそ安定かも知れません。
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