足以亡国(以て国を亡うに足らん)(「説苑」)
ワードプレスに入れずに困っておりましたが、なにやらしてたら入れました。ああ早く早く寝なければ!

カネや利権のためならマメの木にも登る輩が多いのでございます。
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春秋時代のことでございます。晋の大貴族・趙簡子さまが翟(てき。異民族たる北狄です)の封荼(ほうと)という人が使いに来たので、訊いた。
吾聞翟雨穀三日、信乎。
吾聞く、翟に穀の雨ふること三日、信(まこと)なるか。
「おまえさんところの翟の国では、穀物が三日間雨のように降ったと聞いたが、本当かね?」
信。
信なり。
「本当です」
又聞雨血三日、信乎。
又聞く、血の雨ふること三日、信なるか。
「また、血の雨が三日間降ったということを聞いたが、本当か」
信。
信なり。
「本当です」
又聞馬生牛、牛生馬、信乎。
又聞く、馬牛を生じ、牛馬を生ずと。信なるか。
「また、ウマがウシを産み、ウシがウマを産んだと聞いたが、本当か」
信。
信なり。
「本当です」
「ほほう」
趙簡子は言った、
大哉、妖亦足以亡国矣。
大なるかな、妖また以て国を亡うに足らん。
「ずいぶんひどいなあ。こんなに妖しいことが起こっては、国が滅んでしまってもおかしくないぞ」
答えて言った、
雨穀三日、暴風之所飄也。雨血三日、鷙鳥撃於上也。馬生牛、牛生馬、雑牧也。此非翟之妖也。
穀の雨ふること三日なるは、暴風の飄(ひるが)えるところなり。血の雨ふること三日なるは、鷙鳥(しちょう)の上に撃するなり。馬牛を生じ、牛馬を生ずるは、雑牧せるなり。これ、翟の妖にはあらざるなり。
「穀物が三日間雨のように降ったのは、暴風がまき上げただけのことです。血の雨が三日間降ったのは、空の上でワシなどの猛禽類が戦いあっただけのことです。ウマがウシを産み、ウシがウマを産んだのは、そいつらを一緒に飼っていたからです。これらは翟に起こっている妖しいことではございません」
一緒に飼っているぐらいでは起こらないとは思いますが・・・。
「ほほう」
趙簡子は言った、
然則翟之妖奚也。
然れば翟の妖たるは奚(なに)ぞや。
「それならば、翟に起こっている妖しいこととは、いったいなんであるか」
答えて言った、
其国数散、其君幼弱、其諸卿貨、其大夫比党以求禄爵、其百官肆断而無告、其政令不竟而数化、其士巧貪而有怨、此其妖也。
その国しばしば散じ、その君幼弱、その諸卿は貨し、その大夫は比党して以て禄爵を求め、その百官は肆ままに断じて告ぐる無く、その政令は竟(お)えずしてしばしば化し、その士は貪るに巧みにして怨み有る、これその妖なり。
「その国論がしばしばバラバラになり、その主権者は幼く判断力弱く、その大臣たちは利害関係に専念し、その高級官僚たちは仲間を組んで給与と地位を求め、その役人たちは勝手に判断して主権者に情報を与えず、その法令は満足に適用されないうちにどんどん変更され、その国民は利益を得るのに巧妙でしかも不満を持っている。これが翟に起こっている妖しいことなのでございます。
・・・おそれながら、この妖は今この晋の国にもおありではないか、よくよくお考えくださいますように」
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漢・劉向「説苑」第十八「弁別篇」より。え? いまのこの我が国には? 少し・・・いや、かなりいるかも・・・みんなではないと思いますが・・・ほとんど・・・特に今月からは・・・かも。
「 」つきの「愛国者」のあまりに増えた今日このごろ、あんまり「それ亡びなん、それ亡びなん」と声を上げて心配していると孤独になってしまうかも知れないので、このへんで。うっしっし。
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