吉利吉利(きちりきちり)(「梁書」)
今日はJRの運休には巻き込まれなかったんですが、夕方疲れたので居眠りし(もちろん会社で)、そのあとスナック菓子をむしゃむしゃ食ってしまった(これも会社)ので、なんだか元気が無くなってしまいました。あまり喜びの無い生活である。しかしそろそろいいことがあるであろう。

スナック菓子よりこいつらでも食ってろ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
寒くても裸足で歩き回るぐらいの元気が欲しいものですよね。チャイナの南北朝時代のことですが、
林邑国者本漢日南郡象林県、古越裳之界也。
林邑(りんゆう)国なるものはもと漢の日南郡象林県、古えの越裳の界なり。
「りんゆう」という国は、もとは漢帝国時代の日南郡象林県(という直轄地)であり、さらに昔は「越裳」(えっしょう)という少数民族との境界地域であったんじゃ。
其国有金山、石皆赤色。其中生金、金夜則出飛、状如蛍火。
その国に金山有りて、石みな赤色。その中に金を生じ、金は夜すなわち出飛し、状は蛍火の如し。
その国には金を産出する山がある。その山の岩石はすべて赤色で、その中に金が出現するのだが、金は夜になると石から飛び出し、飛び回る。その様子は、まるでホタルの乱舞を見るようであった。
へー。それは見てみたいものですね。
又出玳瑁、貝歯、吉貝、沈木香。
また、玳瑁、貝歯、吉貝、沈木香を出だす。
金のほか、タイマイや貝歯、吉貝(きちばい)、沈木香を産出する。
玳瑁(タイマイ)はウミガメの一種、その甲羅が「べっ甲」になります。「貝歯」はよくわかりませんが、巻貝の中には宝玉のような歯舌(サザエでいう「ふた」)を作るものがあるので、それだと思います。「吉貝」は「貝」ではなく「綿布」のこと。こちらの「貝」はカイではなく、「バイタラ」(ヤシなどの葉を加工した繊維品、紙)の音訳です。「沈木香」は比重の重い木から作られる「沈香」(じんこう)。
門戸皆北向、書樹葉為紙、男女皆以横幅吉貝繞腰以下、穿耳貫小鐶。
門戸みな北向し、樹葉に書きて紙と為し、男女みな横幅吉貝を以て腰以下に繞らせ、耳を穿って小鐶を貫く。
家の玄関はすべて北向きに開く。木の葉を紙にしてこれに文字を書く。着るものは、男も女もみな横に長い綿布を腰から下に巻いて(いるだけ)、耳たぶに穴を開けて小さな環をぶらさげている。
貴者著革屣、賤者跣行。自林邑、扶南以南諸国皆然也。
貴き者は革屣(かくし)を著け、賤しき者は跣行す。林邑、扶南より以南の諸国みな然るなり。
身分の高いひとは革のはきもの(スリッパみたいなもの)を履いているが、しもじもはみんな裸足で歩いている。林邑とその南のプナムより南の方の国は、みんなそうだ。
しもじもは本来裸足なんです。
其王著法服、加瓔珞、如仏像之飾、出則乗象、吹螺撃鼓、以吉貝為幡旗。
その王は法服を著け、瓔珞(ようらく)を加うること仏像の飾りの如く、出ずるには象に乗り、螺を吹き鼓を撃ち、吉貝を以て幡旗と為す。
その国の王さまは僧侶の服を着て、仏像の飾り同様に数珠を体に巻き、外出時には象の乗り、(おつきの者が)法螺貝を吹き太鼓を叩き、綿布を旗にする。
しもじもとは着るものが違いますね。
国不設刑法、有罪者、使象踏殺之。
国に刑法を設けず、有罪者は象をしてこれを踏殺せしむ。
その国には、刑罰に関する法規はない。罪があるとされた者は、象に踏み殺させる。
其大姓号婆羅門。嫁聚必用八月、女先求男。由賤男而貴女也。
その大姓は婆羅門と号す。嫁聚は必ず八月を用い、女まず男を求む。男を賤しみ女を貴ぶによる。
その国で勢力を持っているのは「バラモン」という一族である。結婚は必ず秋八月に行われ、女の方から男を探す。男が身分が低く、女が貴いからである。
同姓還相婚姻、使婆羅門引婿見婦、握手相付、呪曰、吉利吉利。以為成礼。
同姓また相婚姻し、婆羅門をして婿を引きて婦に見えしめ、握手して相付し、まじないて曰く、「吉利吉利(きちりきちり)」と。以て礼を成すと為せり。
我がチャイナは文明が高いので絶対同じ姓同士では結婚しませんが、やつらは、
同じ姓でも互いに結婚するのである。その際には、バラモン族の者が婿になる男を連れてきて女さまに会わせ、手を握らせて引っ付け、
「いいことある、いいことある」
と呪文を唱える。これで婚礼は成立するんじゃ。
「同性」ではなく「同姓」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「梁書」巻五十四「林邑国伝」より。賤しい者たちが上半身裸、裸足で歩いているのは元気があっていいですね。鳥と会話できたというアッシジの裸足の聖者フランシスコのようではありませんか。刑法も無いし、暖かいし、すばらしい。寛容に違いないです。きちりきちり。なむなむ。
コメントを残す