貯歯頬中(歯頬の中に貯う)(「唐才子伝」)
伊豆大島でもぐもぐとたくさん食ってきました。いや、噛まずに飲み込むぐらいの勢いじゃ。内臓破裂してしまうのではないかと思うぐらい食った。

あなたがたが求めているものは、しりこだまよりも価値あるものなのだろうか。一度考えてみるがいい・・・けど如何でしょうか。
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徐凝は浙江・睦州のひと、唐の元和年間(806~820)に郷里ではそこそこ名の通った詩人であった。
無進取之意、交眷悉激勉、始游長安。
進取の意無く、交眷悉く激勉して始めて長安に遊ぶ。
出世しようという気持ちは無かったのだが、知り合いや仲間がみんなで激励したので、やっと都・長安に出て来た。
しかし、文壇やおえらがたの宴席にも出てみたが、
不忍自衒鬻、竟不成名。
自ら衒鬻するに忍びず、ついに名を成さず。
自分をよく見せて売ることなどできず、とうとう有名にはならなかった。
将帰、以詩辞韓吏部。云、
一生所遇惟元白、天下無人重布衣。欲別朱門涙先尽、白頭游子白身帰。
将に帰らんとして、詩を以て韓吏部に辞す。云う、
一生遇するところは元・白のみ、天下に布衣を重んずるの人無ければ。
朱門に別れんとして涙先ず尽き、白頭の游子、白身にして帰る。
郷里に帰ろうとして、(世話になった)韓愈に別れの詩を送った。その詩に云う、
一生の間、ちゃんとお付き合いしてくれたのは(一時代前の詩人)元慎と白楽天(のような韓愈さま)だけでした。
なんといっても天下に(私のような)無位無官の者を重視してくれる人なんかいるわけないのですから。
首都のお金持ちの家の赤い門と別れることになるが、涙はもう先に尽きていまして、
白髪頭の旅人は、何の地位も無く帰っていきますよ。
知者憐之。
知る者、これを憐れむ。
彼を知っている者で、悲しい思いをしない者はいなかった。
でも本人はそうではなかったんです。
遂帰旧隠、潜心詩酒、人間栄耀、徐山人不復貯歯頬中也。
遂に旧隠に帰り、詩酒の潜心し、人間の栄燿は、徐山人また歯頬の中に貯えざるなり。
結局、以前の隠棲所に帰って、詩と酒の心を潜めた。人間社会の栄光や名声は、徐山人どのは二度と歯と頬の間に含んでもぐもぐ食べようとはしなかったのだ。
老病且貧、意泊無悩、優悠自終。
老病にしてかつ貧なれども、意は泊にして悩み無く、優悠として自ずから終われり。
年を取り病気がちで、しかも貧乏。だが、心は淡白だったので悩むことも無く、ゆったりとして自然に亡くなられたのである。
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元・辛文房「唐才子伝」巻六より。かっこいい。今だけ、カネだけ、自分だけ、のみなさんにも学んでいただきたいものだ。・・・学んだらそうでなくなってしまうから学ぶはずないとは思うんですが。
このひとはまだまだ引っ張りだこなのでまだまだ山中には入れませんね。ところで「引っ張りだこ」は「凧」?「蛸」?
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