斉人伐燕(斉ひと燕を伐つ)(「孟子」)
秋に膝痛めてから体脂肪率が大きく悪化するなどもうダメなのですが、また痛くなるとさらにダメになりますね。

忍者になれば体も強く、精神も鍛えられるという。忍者になりたいものである。
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それはそうとしまして戦国のむかし、斉の国の都・稷でのことでございます。
沈同以其私問曰、燕可伐与。
沈同(しんどう)その私を以て問いて曰く、「燕、伐つべきや」と。
斉王の側用人である沈同が、私的な立場で、と念を押したうえで、先生に質問した。
「燕の国は、征伐ししてもよろしいものでしょうか」
燕の国では、国王が宰相に国を譲ってしまい、大夫や士や国衆らが大混乱に陥っていました。
孟子が答えた、
可。子噲不得与人燕、子之不得受燕於子噲。有仕於此、而子悦之、不告於王、而私与之吾子之禄爵。
可なり。子噲(しかい)、人に燕を与うる能わず、子之(しし)燕を子噲に受くるを得ず。ここに仕有りて、子をこれを悦び、王に告げずしてひそかにこれに吾が士の禄爵を与うるなり。
よろしいです。
燕王の姫子噲は、燕の国の領土を勝手に他人に与えてしまう権限はない(あるのは本来周王だけ)。また、宰相の子之には燕に国を国王・子噲から受け取る権限も資格もない。もし、あなたのところに仕えている者がいて、あなたは彼の才能を認めて、(あなたに爵位や家禄を与えてくれた)国王には何も連絡せずに、勝手にあなたの家禄と爵位を与えてしまったとします。
夫士也、亦無王命、而私受之於子、則可乎。何以異於是。
夫の士なるものは、また王の命無く、ひそかに子に受く、則ち可ならんか。何を以てこれに異ならん。
仕えている者も、王からの命令無しに、勝手にあなたから爵禄を受けてしまった、という。その状態と同じですぞ」
「なるほどのう・・・」
沈同は斉王に孟子の考えを伝えた。
「賢者も燕を征伐する大義あり、とのことじゃな」
「御意」
かくして、
斉人伐燕。
斉ひと、燕を伐つ。
斉の国民は、燕の国に攻め入り、占領してしまった。
さて、
或問曰、勧斉伐燕、有諸。
或ひと問いて曰く、「斉に勧めて燕を伐たしむ、これ有りや」
あるひとが孟子に訊ねた。
「先生は斉の国王らに勧めて燕の国を征伐させた、と言われておりますが、そんなことがあったのですか」
孟子は答えて言った、
未也。
いまだしなり。
「いや、そんなことはしておりませんよ」
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「孟子」公孫丑篇より。ええー! 燕を征伐してもいい、と言ってたじゃないですか。なんやら日和っています。どういうことじゃ。・・・明日をお待ちください。
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