如風如響(風の如く響の如く)(趙抃「座右銘」)
言われたとおりにしているだけで、一週間なんとか過ごせました。

えらい人のいうとおりやっていたら、NISAでもうかる。コメは美味い。博覧会は大成功。すべてうまくいくんだ。みんなも言われたとおりにやろう。
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宋の趙抃が座席の右側に彫りこんだという言葉を週末なので読んでみます。言われたとおりにやれればいいのですが・・・。
無心于事、無事于心。両者既無、即得解脱。
事に無心、心に無事なれ。両者既に無なれば、即ち解脱を得ん。
事をなすときには無心でやれ、心の中には気にするものを無くせ。この二つが無であれば、現世のことにこだわることはなくなる。
聞諸悪言、如風如響。彼自妄発、何須理会。
諸悪言を聞くには、風の如く響の如くせよ。彼自ずから妄発す、何ぞ理会を須(もち)いん。
いろいろ悪口を言われても、風のようなもの、こだまのようなもの、気にするな。そいつは自分で勝手に誤って発言しているのだから、なんで理解してやる必要があるのか。
人有不及、可以情恕。嗔心便息、事過無悔。
人に及ばざる有るも、情を以て恕するべし。嗔心すなわち息(や)み、事過ぎて悔いる無し。
誰かが失敗しても、優しい気持ちで許してやれ。頭な来た気持ちがすぐに止んで、後になって悔いることがない。
非意相奸、可以理遣。当一無事、胸中泰然。
非意相奸(おか)せば、理を以て遣(や)るべし。一無事に当たりては、胸中泰然たり。
相手を非とする思いが互いにぶつかったときは、道理に基づいて行動すること。物事が終わった後、(勝ったにしろ負けたにしろ)心の中はゆったりできる。
良田万頃、日食二升。一飽之外、皆他人享。
良田万頃なれども、日に食らうは二升のみ。一飽のほか、みな他人享(う)くるなり。
良い田んぼが一万アールあったとて、一日に食べるのは二升が精いっぱい。腹いっぱいになるほかは、すべて他人が食うのだぞ。
大厦千間、夜臥八尺。一席之外、皆是余地。
大厦千間なるも、夜臥するは八尺なり。一席の外、みなこれ余地。
でかい千部屋もある家があったとて、夜寝るのは二メートル弱だけだ。布団一枚の外はぜんぶ余った空間である。
説得一尺、行得一寸。説而不行、損気無益。
説き得ること一尺にして、行い得ること一寸。説きて行わざれば、気を損ないて益なし。
30センチぐらい人に説いても、やれることは3センチぐらい。説いてもやれないのでは、気力を費やすだけで何も得しない。
但行好事、莫問前程。好事若行、前程自在。
ただ好(よ)き事を行い、前程を問う莫かれ。好き事もし行わば、前程自在なり。
よいことを実行して、未来のことをとやかく心配するな。よいことが実行できたなら、未来のことは思い通りだ。
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宋・趙抃「座右銘」(宋・陳禄「善誘文」所収)。湯飲み茶わんに書いてあるおやじの小言集のちょっと難しめのやつだと思ってください。たいていの場合、怒鳴ったりさぼったりする前でなく、後で読んで「いけね。次回から気をつけよう」と思うやつです。
死後に朝廷ではなく周囲から清献公と私に謚り名された趙抃は北宋の名官、権貴を恐れず弾劾し「鉄面御史」(つらの皮が鉄で出来たような強情な監察官)と言われた。後、新法に反対して左遷されるが、その先で旱害対策に成功して、多くの民を救ったということじゃ。
岡本全勝さんはまた更新されていません。無言のうちに500万番がちかづいてきました。
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