其形如蛇(その形、蛇の如し)(「墨余録」)
ヘビでないなら「如し」でもいいのですが。

ヘビと月は脱皮して生き返ることから、古来より同一視されてきた(ネフスキー「月と不死」など)んニョロ。
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清の嘉慶年間の初め頃のことである。浙江・呉中にあるわしの家の下僕の某という男が、夏のあまりに暑い夜、あんまり暑いので庭園内の緑雨亭というあずまやに寝転がっていたのだそうだ。
すると、
夜半、聞鳴声起乱石中。初以為蚓、頃之、声厲如吹角。
夜半、鳴き声の乱石中より起こるを聞く。初め以て蚓(いん)ならんとするに、頃之(しばらく)するに、声厲なること角を吹くが如し。
真夜中ごろ、乱雑に置かれた石の間から、なにやらの鳴き声が聞こえてきた。はじめはミミズの鳴き声だろうと思っていたが、しばらくすると声が激しくなって、まるで角笛を吹いているかのようになってきた。
「なんじゃ?」
移灯即之、恰無所見。
灯を移してこれに即するも、恰も見るところ無し。
灯火を移して(携帯用の蝋燭に火をつけて)声のしたところを照らしてみたが、まったく何もいない。
次晩復鳴、僕欲窮其異、秉燭以伺。
次晩また鳴き、僕その異を窮めんと欲して燭を秉りて以て伺う。
次の晩になるとまた鳴き声がしたので、下僕はその変なものの原因を探ろうとして、燭を手にしてじっと待っていた。
至四鼓後、有物蜿蜒出石間。時月色正明、細視、其形如蛇。
四鼓の後に至りて、物の蜿蜒として石間より出づる有り。時に月色正明にして、細視するに、その形蛇の如し。
午後十時を過ぎた後になって、何かがにょろにょろと石の間から出て来た。ちょど月が満月に近く、南中して明るいので、細かく見てみたところ、どうもヘビのような形をしている。
長四尺余、望月長鳴、其声蜿転、節韻抑揚。
長さ四尺余、月を望んで長く鳴き、その声は蜿転として、韻を節し抑揚あり。
清代の一尺は32センチですから、そいつの長さは128センチ以上、満月の月を眺めて長々と鳴いた。その声はまろやかで、句ごとに韻を踏み、また高くなったり低くなったりした。
月将落、始引去。
月まさに落ちんとして、始めて引き去りたり。
月が西に落ちようとする夜明け方になって、やっといなくなった。
一体どんな声だったのであろうか。下僕が最初に聞いた時、「ミミズの声では?」と思ったのが手掛かりになりますね。えーと、ミミズの声というのは・・・あれ? どんなだっけ。
僕識其処、明日探之、果有穴、遂以雄黄灰土封之、後竟不復出。
僕、その処を識し、明日これを探るに果たして穴有り、遂に雄黄の灰土を以てこれを封じ、後ついにまた出でず。
下僕はその場所を覚えておき、翌日の昼間に探してみたところ、確かに穴があった。そこで、硫黄の灰を混ぜた土で穴を塞いでやったところ、もう二度とそいつは出てこなくなった。
ということである。
按ずるに、「蛇譜」(ヘビ百科)を閲するところ、
歌蛇
というのがいるそうだ。
出緬甸及東印土、長五尺、大一拱、食山果、而不齧人。毎秋清月朗、長鳴如蚓。
緬甸(めんでん)及び東印土に出、長さ五尺、大きさ一拱(ひとかかえ)、山果を食らい、人を齧らず。毎秋の清月朗たるとき、長鳴すること蚓の如し。
ミャンマーから東インド(ベンガル)地方にかけて出現する。長さは160センチ、手で一抱えするぐらいの太さだという。山中の果実を主食にしており、人をかむことはない。毎年、秋になって、月清らかで明るい夜になると、ミミズのように長々と鳴く。
またミミズの鳴き声が出てきました。これは、知らない方が少数派ぽいです。知っているふりをしなければ・・・。
しかしながら、
我が郷里、呉中ではこのヘビの棲息を聞いたことがない。
正不知其何自来也。異哉。
まさのその何れより来たれるかも知らざるなり。
ほんとに、このヘビがどこから来たものか、わからないのである。
雨蒼氏(←この本の筆者の自称)曰く――
蛇鳴或如撃磬、或如撾鼓、更有百楽之名。声聚則八音皆備、合此可当一部鼓吹。
蛇の鳴くは或いは磬(けい)を撃つが如く、或いは鼓を撾(う)つが如く、更には百楽の名有り。声聚まればすなわち八音みな備わり、まさにこれ一部の鼓吹に当たるべし。
ヘビの鳴き声は石の楽器(「磬」)を叩くような(かーん、という)音がするとも、太鼓を連打するような(どこどこどこ・・・、という)音がするともいいまた、百の楽器が一度に鳴ったような(ぶー、という)音がする、ともいう。その鳴き声が集まれば、竹笛、石磬など八種類の楽器の音がすべて具わっているようであり、まさに一隊の楽隊に該当するといえよう。
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清・毛祥麟「墨余録」巻六より。結局このひともヘビの鳴き声がわかってないみたいですね。おそらく「がらがら」と鳴いたのではないかと推測してみるのですが・・・。
観ネコ記 令和7年11月22日
を書こうと思ったのですが、今度は写真が送れなくなったので、観ネコ記は中止じゃ。今日はしにかけ、手前ミケ(ころころ)、白ミケ、奥ミケ(バグパイプ)を発見、ハチは不明。白ミケが先週の三分の二ぐらいにダイエットに成功していた。
→その後入れました。上の4匹の写真を掲示する。




↓こいつはどれでしょう。

それじゃあニャ。来週までみんないるこな?
全勝さんのHP、恢復のきざしが見えません。サボっているのかも。わたしも明日はさぼらせてもらいますわ。眠いし。
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