揺尾乞憐(尾を揺らせて憐れみを乞う)(「清朝野史大観」)
なんとか助かりたいものです。

「おほほ、急がずにじっくりヤってもいいんじゃないの?」
「だよね」
あわわ、コワいのは心〇に悪いではありませんか。
・・・・・・・・・・・・・・・
清の嘉慶年間(1796~1820)のこと、満州貴族の伊桑阿(いそうあ)はこの時雲貴の貴州の副知事であったが、
累任封疆、以貪黜聞、為下吏挙発。
封疆に累任され、貪を以て黜聞し、下吏に挙発さる。
国境近い辺境の地の地方官に続けざまに任命され、特産品の扱いなどでぼろもうけしているとの悪いウワサが広がり、ついに部下から告発されたのである。
伊桑阿は兄がかつて宰相をしていたこともある名門であり、帝ははじめ、
侍郎往訊得実、解京正法。
侍郎を往訊せしめて実を得て、解京して法を正さんとす。
参事官クラスを現地に派遣して実態を調査させるとともに、本人は解任して、北京に帰らせてから裁判するつもりであった。
ところが、解任された本人が北京に着く前に、派遣した参事官は大急ぎで戻ってきて、ひどい状況であったことを報告した。帝はその報告を聞いて、あまりの暴虐に激怒し、
復遣侍郎瑚図霊阿於中道賜死。
また侍郎・瑚図霊阿(ことれあ)を遣りて中道に賜死す。
今度は、切れ者で有名な参事官・瑚図霊阿を派遣して、帰還途中で死を賜った。
「ええー!」
伊初聞旨以為詐欺、不肯受命。
伊、初め旨を聞きて以て詐欺ならんとし、あえて受命せず。
伊桑阿は、陛下の趣旨を聞いても、瑚が騙しているのではないかといって、命令を聞こうとしなかった。
瑚使人縛之。乃叩頭乞貸須臾以待恩命之至。
瑚、人をしてこれを縛らしむ。すなわち叩頭して須臾を乞貸し、以て恩命の至るを待つ。
瑚図霊阿は部下に伊を縛らせた。すると、伊は頭を地面にぶつけるほどぺこぺこして、「少しだけ待ってくだされ」と言った。その間に、命だけは助けるというご命令が来るかも知れないからだ。
瑚は怜悧に笑って、言った。
曩昔威望、皆往何処去也。
曩昔の威望、みな何処に往き去りしや。
「この間までずいぶん地方民に威張りちらしていたそうでござるが、その威勢はどこにお行きになられたのじゃな?」
因以帛勒斃。
因りて帛勒(はくろく)を以て斃せり。
そして、絹の紐で(首を絞めて)お殺し申し上げた。
ああ。
封疆世族至於玩法致罪、已無顔以対人、乃揺尾乞憐如犬彘就死状、真不知是何肺腑也。
封疆の世族、法を玩びて罪を致すに至る、すでに以て人に対するの顔無きに、すなわち尾を揺らし憐れみを乞いて犬彘(けん・てい)の死に就く状の如き、真にこれ何の肺腑たるやを知らざるなり。
国境地帯に派遣された代々の貴族が、法を好き放題にねじまげて罪を犯してしまったとすれば、もうそれだけで都のひとびとに何の顔向けができるであろうか(ふつう、自殺するよね)。ところがさらに、しっぽを振って憐れみを乞うとは、イヌやブタが死ぬときと同じではないか。ほんとうに、彼の中身がどうなっていたのやらわからないぐらいである。
・・・・・・・・・・・・
「清朝野史大観」清人逸事巻六より。悪いことをしてはいけないということでしょう。実際、有力貴族の一族だと、説得された帝が罪を宥す可能性も無きにしもあらずですから、できるだけ早くコロしておかんといかん、ということだったかと想像します。
いずれにしろ、地方へ行く貴族はエクセレントの方ですから、少なくともマネジメントぐらいスタディしておくことがマストビーです。英語多いですね。こちらは英語ないぞ。
コメントを残す