鼠子何敢爾(鼠子何ぞ敢えてせんのみ)(「東漢観記」)
気象庁に怒った人が米大使館付近で機動隊員に斬りつけたというニュースが入っています。

なぜ何の脈略も無く批判されねばならないのか。納得いかないでちゅー。(とはいえ、俗世は納得行かないことばかりなのですから、仕方ありません。)
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さて、前漢の末近く、王莽が攝政になった頃のことでございますが、漢の皇室一族の舂陵侯・劉敞は荊州・廬江の都尉(警察署長?)となっていた。
その年、荊州は、
遭旱、行県、人持枯稲。
旱に遭い、県に行くに、人枯稲を持す。
ひでりの害に遭った。劉敞は、廬江から荊州の県庁に行く途中で、ひとが枯れた稲を手にして道端で待ち構えているのに出会った。
その人が言うには、
稲皆枯、吏強責租。
稲みな枯れたるに、吏強いて租を責む。
「稲はすべて枯れはててしまいました。しかし、役人は租税を払えと厳しい取り立てを続けております・・・」
劉敞はその人が差し出す枯れた稲は手にしたものの、取り合わずに言った、
太守事也。
太守の事なり。
「それは太守の対応すべき事案ですな。わたしの問題ではありません」
そして、
載枯稲至所。酒数行、以語太守。太守曰、無有。
枯稲を載せて所に至る。酒数行にして、以て太守に語る。太守曰く、「有る無し」と。
枯れた稲を車に乗せて、県庁にやってきた。県庁では宴会となり、乾杯が数回行われたところで、劉敞は道端で起こったことを太守に告げた。
「ほお」
太守は言った、
「そんな報告は聞いておりませんなあ」
と。
敞、以枯稲示之。
敞、枯稲を以てこれに示す。
劉敞は「これをご覧ください」と言って、枯れた稲を太守に見せた。
太守は言った、
都尉事邪。
都尉の事か。
「さてさて、(収穫や徴税は)警察署長の所掌事務でございましたかな?」
敞、怒叱太守、曰鼠子何敢爾。
敞、怒りて太守を叱して曰く、「鼠子、何ぞ敢えてせんのみ」と。
劉敞は怒り、太守を怒鳴って言った、
「ネズミやろう、どうしてあえて(報告だけでも)してやったと思っているのか!」
―――おまえなど放っておいて、劉氏の天下なのだから勝手にわしが免税してやってもいいのだぞ!
というような意味に取れなくもない。
太守は中央の王莽に報告した。王莽は、すぐに劉敞を長安に呼び寄せ、旱害の報告を受けた。王莽は太守に対応するよう指示したが、劉敞については、
免就国。
就国を免ず。
領地の舂陵に戻ることを免除した。すなわち帰郷を許さなかった。
戻すと人民たちに担がれる人物であると畏れたのである。
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南朝宋・范曄「東漢観記」より(後漢書巻十四所引)。太守のやつがいい味出してます。
まったく、ネズミやろうは許しがたいですね。
観ネコ記 令和7年10月25日
だがこいつらはネズミなどを捕ることもなく、しりたたきを待っているのである。
今日は雨でハウスにいるやつとどこかに行ってるやつといました。




この四枚に写っているネコがすべて同じネコだと思ったりしてませんよね。
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