9月29日 蚊よりも問題はダニやハエです

賜物充庭(賜物、庭に充つ)(「明語林」)

蚊はムヒがあるから大丈夫ですが、ダニやハエの集団はどうするのですか、という問題を提起しています。朝廷に近い首都にはこれらが多いのです。ただ、首都にいて、権力の近くにいると。たいへんいいこともあるようです。

おいらも混ぜてもらいたいもんだソリ。

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明の数少ない名君の一人、宣徳帝(在位1425~35)が、夜、突然宰相の楊士奇の家にやってきた。

夜已二鼓、士奇驚起、朝服逆之。

しかし、

鑾仗繞屋、不知上所在。

「鑾」(らん)は天子の車馬につける「鈴」、「仗」(じょう)は天子などの護衛の兵士。

(ど、どこにおられるのだ? ・・・あ、そうだ、ピコーン💡)

と思いつき、

惟降階北面拝。

とりあえず家の中の何処におられても失礼の無いように振る舞ったのである。

「あははは」

上方倚欄看月、笑而呼曰、朕在此。

「ははー(あぶない、さっきまで同じ平面にいたのだ、そこをうるさい御史たちにでも見つかっていたら・・・)」

と深々と拝礼したときには、もう

賜物充庭際。

ありがたいなあ。
ところで、この時、楊士奇は妻をすでに亡くしており、

止一婢侍巾櫛。

一日、中宮行慶賀、命婦悉往。太后以公無命婦、召婢至。

女中がやってきたので、よく見てみると、

貌既寝、衣復倹陋。

「これはいけないね」

命妃嬪為梳整、易以首飾衣服而遣之。

且笑云、若曰、楊先生応不復相識矣。

おほほほ。うふふふ。いひひひ。

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清・呉粛公「明語林」巻十一「寵礼篇」より。「えらい人に(礼の範囲内で)愛されたエピソード集」というような篇のようです。君臣の間が仲が良いという「佳話」(いいはなし)として編者たちは扱っていると思うのですが、後者は、
「余計なことすんな、くそ太后! この女その気になったらどうするんだ!」
「それが太后に向かって言うコトバかね! きー!」
と仲間割れしてしまうかも知れません。しかし、このように国家はいろいろ下さるのです。高校まで無料化にしてくださっているのに、教育面での支出が少ないと国家を批判するとは、どういうことじゃ!・・・と質問してみようかと思いましたが、やはりなにかがおかしいんですよね。どこかにダニやハエがいるんだと思います。いないかな。蚊ぐらいかも。

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