老奸巨滑(老奸にして巨滑)(「清朝野史大観」)
新しい投稿の載る目次を使う能力が無いので、別に表紙や目次を作っておるわけです。スマホ投稿でとりあえず公表しておいて、夜に整理する、ということができるようです。「老奸巨滑」と罵られても昼寝しているので、その時間を使うと夜が楽になるということか。くっくっく。わしも悪よのう。

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昨日ご紹介した西太后の長安避難中のこと、江南に駐在している大臣・李鴻章から
電奏有曰、毋聴張之洞書生見解。
電奏して曰う有り、「張之洞書生の見解を聴くなかれ」と。
張之洞は太后と光緒帝を出迎えた長安の責任者で、李鴻章より若い洋務派の代表的人物。
電報で至急の上奏があった。
「張之洞はまだ現実を知らない書生、彼の見解を聴いてはなりません」
当時有人将此語転入張之洞。
当時、人のこの語を将いて張之洞に転入する有り。
そのころ、(奏上は誰かを通さずに直接に皇帝(今回は西太后)になされ、臣下には秘密にされるものなのですが)この李鴻章の言葉をわざわざ張之洞の耳に入れた者がいた。
張之洞は
大怒曰、我是書生、他是老奸巨滑。
大いに怒りて曰く、「我はこれ書生、他(かれ)はこれ老奸にして巨滑なり」と。
「滑」(かつ・こつ)は「なめらか」「円滑」の意味ですから、いい人ではないか、と思うかも知れませんが「言葉がなめらかで取りいって悪事をする」「ぬめぬめと捉えどころがなく悪賢い」という意味があり、その地位や権限が巨大なので、「巨滑」と言っています。なお当然ながら、ジャイアンツが滑った、という意味の隠語ではありません。
激怒して、言った、
「たしかにわしは書生だが、あいつは老いた奸賊、巨大な悪党ではないか」
と。
これ以降、張之洞のスタッフたちは、李鴻章について論じる時、
往往痛加詆罵。
往往にして詆罵を痛加せり。
たいてい、ひどく謗ったり罵ったりする言葉を付け加えるようになった。
のだそうです。
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「清朝野史大観」巻八「清人逸事」より。星ひゆうまと花形みたいにライバルがお互いに高め合っていく、という感じでしょうか。美しき哉。欧州ではじまっているという電子文書の自主開示(公開請求に対応するのではなく組織内での電子格納に合わせてHPなどに現用文書を公開すること)もライバルと競い合って進めてほしいものですね。
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