夏月腐爛(夏月に腐爛す)(「後漢書」)
身も心も腐って爛れてきたので、もうやる気もありません。夏バテしてるのに体重は増えるし。この暑いのに自転車操業している人もいるようですが。

悪い役人はおれたちドウブツ以下、両生類レベルだ。やっつけてやるぜ!
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後漢の王吉という者、河南・陳留のひとで、宦官として権勢を振るった王甫の養子である。(王甫については「宦者伝」を参照せよ、とのこと)
王吉は若いころから読書に務め、名声を得ることを欲したが、
性残忍。以父秉権寵、年二十余、為沛相。暁達政事、能断察疑獄、発起姦伏、多出衆議。
性残忍なり。父の権寵を秉るを以て、年二十余にして沛の相と為る。政事に暁達し、よく疑獄を断察して、姦伏を発起すること、多く衆議に出づ。
性格は残忍であった。養父が宦官として権力と皇帝からの寵愛を得たことから、二十数歳で河南の沛国の宰相となった。行政に明るく、謎の刑事事件を次々に解決して、隠れていた悪事をあばきだした。これらは人民たちの間の意見を端緒にしたのである。
ここまでだと若いのに優秀、とも思えるのですが、そのやり方は、
課使郡内、各挙姦吏豪人諸常有微過、酒肉為臧者、雖数十年猶加貶棄、注其名籍。専選剽悍吏、撃断非法。
郡内をしておのおの姦吏豪人の常に微過あり酒肉の臧(よ)しと為す者を挙げしむるを課し、数十年といえどもなお貶棄を加え、その名籍を注す。剽悍の吏を専選して、撃断すること法に非ざるなり。
難しい文章ですが、こんなふうに読んでみました。
所管の沛郡の中で、管轄ごとに、ずるい役人や金持ちでちょっとした過ちがあった者だとか贅沢な暮らしをしている者を、提出するよう強制した。彼らの事件がたとえ数十年前のことでも、なおこれを罪に問い、氏名と戸籍を調べ上げて、特に暴力的な役人を選んで、法に則ることなく、断罪し、攻撃させたのである。
また、
若有生子不養、即斬其父母、合土棘埋之。
もし子を生みて養わざること有れば、即ちその父母を斬し、土棘に合わせてこれを埋ずむ。
子どもを生んでも生活苦などで捨てる者があると、(その非人道を摘発して)即座に両親をともにかなり残虐な刑罰である斬刑に処し、棺による埋葬を許さず、土にとげのある草などを混ぜて埋め込んだ。
凡殺人皆磔屍車上、随其罪目、宣示属県。夏月腐爛、則以縄連其骨、周徧一郡乃止。見者駭懼。
およそ殺人すればみな屍を車上に磔し、その罪目に随いて、属県に宣示す。夏月に腐爛すれば、縄を以てその骨を連ね、一郡を周徧して止む。見る者駭き懼る。
死刑にした人の死体は、まずは牛車の上に杭を立ててこれを晒し、罪名ごとに見せしめのために各県を回らせた。夏の月間で、死体が腐り爛れてしまった場合は、縄を以て骨がばらばらにならいようにしばりつけて、郡内を一周させるまでは埋葬を許さなかった。あまりのむごさに見た者はびっくりし、おののいた。
かくして、
視事五年、凡殺万余人、其余惨毒刺刻、不可勝数。郡中惴恐、莫敢自保。
事を視ること五年、およそ殺すこと万余人にして、その余の惨毒刺刻は数うるに勝(た)うべからず。郡中惴恐し、あえて自保する莫し。
沛の相として行政を掌ること五年で、一万人以上を殺した。殺さずに虐待したり刺したり刻んだりの残虐行為は、数えることもできないありさまであった。郡内のひとたちは恐怖におののき、誰一人として安心して暮らせなかった。
だが、陽球が王甫の罪状を責めたててこれを誅殺すると、
乃就収執、死於洛陽獄。
すなわち収執に就き、洛陽の獄に死す。
今度は彼が逮捕され、洛陽の獄で虐待されて死んだ。
この陽球というやつがまた輪をかけて残酷な役人であった・・・と、キリもなく、「酷吏」の列伝は続くのである。
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「後漢書」巻七七「酷吏列伝」より。浜の真砂は尽きるとも、世に奸官酷吏のタネはつきまじ・・・すべてを操っている財務省を解体してしまえ、というのが最近の天声人語(※)であろうか。
※ 固有名詞ではありません。念のため。
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