国已不国(国すでに国ならず)(「草木子」)
行かなければよかったですね。じとじとするし。

金印は大事だよ。畑なんかに捨てないでね。
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もはやこんな国、国とはいえないのだ!
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これはさすがにまずいぞ。しかし何のことを言っているのでしょうか。
元海運自朱清、張瑄始。歳運江淮米三百余万石、以給元京。四五月南風至起運、得便風十数日即抵直沽交卸。
元の海運は朱清、張瑄より始まれり。歳に江淮米三百余万石を運び、以て元京に給す。四五月、南風至れば運を起こし、便風を得れば十数日にて即ち直沽(ちょくこ)に抵(いた)りて交卸す。
我が元帝国の海運(沿岸航海)は、朱清と張瑄の二人が始めたのである。毎年、長江下流域や淮河方面から(運河ではなく沿岸航海によって)コメ三百余万石を運んで、元の都であった大都(今のペキンである)に輸送していたのである。四月から五月の夏の初めに、南からの風が吹き始めると船を出す。うまく風に乗ると十数日でペキンに近い直沽の港に到着して、そこでコメを卸売りした。
朝廷以二人之功、立海運万戸府以官之。賜鈔印、聴其自印。鈔色比官造加黒、印硃加紅。
朝廷、二人の功を以て、海運万戸府を立てて以てこれに官す。鈔印を賜い、その自印するを聴(ゆる)せり。鈔色は官造に比して黒を加え、印硃は紅を加えたり。
元帝国の朝廷は、二人の功績に報いるために、「海運万戸府」という役所を作って、二人をこの役所の幹部に任命した。手形(紙幣)に押す印鑑を渡し、自分たちの判断で手形を発行してもよいことにした。見分けをつけるために、手形の印刷の色は国が出すものより黒くし、押印するときの朱印はより紅を濃くしたのである。
その後、
富既捋国、慮其為変、以法誅之。
富既に国を捋(と)り、その変を為すを慮りて、法を以てこれを誅せり。
彼らの富は国を動かすほどとなったため、何か変事を為すことを心配して(まだ現実にはそんな動きは無かったのだが)国法を以て彼らを誅殺してしまったのである。
海運自後歳以為常。及張九四拠有浙西、而海道又有方国珍、運道遂梗。
海運、自ずから後歳以て常と為す。張九四の拠りて浙西に有り、海道また方国珍有るに及びて、運道遂に梗(ふさ)がる。
役人なんか除去してしまっても、うまくいったみたいです。
その後も海運は毎年うまく運航されていた。だが、(十四世紀も半ばに入って)張九四が浙西に勢力を広げ、沿岸部もまた方国珍が力を持つようになって、海運の航路はついに塞がれてしまったのである。
而国已不国矣。
而して国すでに国ならざるなり。
こうなってしまってからは、もはやこの国は国といえない状態になってしまったのである。
コメ運べなくなったら作ればええやん。官僚が作らせて無かっただけかも知れませんから。
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元・葉子奇「草木子」巻三下・雑制篇より。ああよかった。元末の時代のことで、わたくしどもの国のことではなかったんですね。まあ確かにコメ国よりはまだましか。なか国やつゆ国よりもいいかも。お、意外といいとこ行ってるやん。・・・要らんこと競争していてもしようがないですが。こんなこと競争してる方がまだいいかも。
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