8月3日 本日も多忙で炎天下での活動が続く

躊躇久之(躊躇してこれを久しくす)(「録異記」)

今日のような熱中症アラートの日に表に出るのには、ちゃんとした常識のある人(「君子」)は躊躇しますよね。

おれたちカラスぐらい賢いと、逆にほかの生物が弱っている天候下でこそ活動するものだが・・・まさか、肝冷庵がカラス並みに賢いというのか?

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唐の終りごろ、「恩州」のことだというのですが、確かに唐代、廣東に「恩州」という地名があるので、一応そこのことだとして話を進めます。

恩州大江之側崖壁万仞、高処有洞門、中有仙人。

恩州の大きな川のかたわらには、一万仞もある岸壁が立っている。その高いところに洞窟の入り口があって、その中には仙人がいるというのである。

もしかしたら、浙江の「温州」の有名な雁蕩山をイメージしているのかも知れません。湾を見下ろして巨大な岸壁が立っていて、信仰や観光の対象になってきました。実物見たことないので知らんけど。

江中舡人叫声呼之、往往即出、多着紫衣。下窺江岸躊躇久之、方去。

のだそうです。ほんとかな。

洞下江游水浅、往来舟舡於此搬載上岸。船軽然後可行。

(知り合いの)劉宏がこの地を過ぎた時に、

舟人具話其事、因呼数声、仙人果出山上。

というのだから、ほんとうのことでした。

この岸壁、

絶頂多有石笋、迥然挺抜、高者僅十尺、亦有数百尺者。皆光色潔白、如凝酥積雪。

ただし、

人跡不到。

―――人間が行ったこともないのに、なぜそんなことがわかるのか?

大都黔峡諸山、有大酉小酉皆是絶跡勝境為神仙所居。

・・・だから、人間の行ったことのない土地だからといって、全くわからないわけではなく、仙人がいる以上すばらしいところだということはわかるわけです。

理屈になってるかどうかはともかく、たしかにそうなのでしょう。M・ウェーバーのいう「理解可能」であり「説明可能」ではないのです。

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五代・杜光庭「録異記」巻一より。すごく勉強にはなるお話ですが、特に仙人たちは高いところがコワい、というのが新発見。廃刊されてなかったら土曜夕刊あたりに特集されてもいいぐらいの重要案件では。

なお、湖北から四川への山中にあるという大酉山・小酉山(合わせて二酉山)は、秦の始皇帝の焚書の際、学者たちが古代の秘密の書籍を隠したところと言われ、地下にすごいでかい書庫があって、今もそこに失われた書籍が蔵されているという。

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