7月4日 明日は災害予言の日だ、もうダメだ

無事亦忙(事無けれどまた忙(いそが)わし)(「伝習録」)

どうしようどうしようと、やることあんまりないけど忙しい。

ちくたくちくたく忙しいのじゃ!何かを作り出しているわけではないんじゃが。

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「先生、訊きたいことがあるんですわー」

と欧陽徳が言った。

「何や。言うてみい」

「えーと、おれ、あほやから、うまいことよう言わんのですけど、

尋常意思多忙。有事固忙、無事亦忙、何也。

「そんなの自分で考えろ、おれは忙しいんだ!」

と言うかと思ったのですが、そんなこと言わずに、先生は言った、

天地気機、元無一息之停。

天地・宇宙はいつも動いているのだ。

然有箇主宰。故不先不後、不急不緩、雖千変万化、而主宰常定、人得此而生。

若主宰定時、与天運一般不息、雖酬酢万変、常是従容自在。所謂天君泰然、百体従令。

「酬酢」は酒偏がついていますように、飲酒用語、お酒を勧めると勧められる、すなわち「さしつ、さされつ」のことです。それを借りて、ここでは「すぐに対応する」ことを言っています。

「天君泰然、百体従令」については、下の方参照。

若無主宰、便只是這気奔放、如何不忙。

いつも忙しくなってしまいますよね。

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明・王陽明等「伝習録」巻上より。いつも忙しいのはなぜかわかっていただけましたでしょうか。おれはあほやからあんまりようわからんけど。

※「天君泰然、百体従令」

この言葉は、宋の范俊というひとの「心箴」(心に関する教訓)に出てくる言葉です。この言葉が「いわゆる(所謂)」と言われるほど誰でも知っているぐらい有名になったのは、南宋・朱晦庵の「四書集注」の中で、「孟子」告子上篇の「鈞是人也章」の注釈に使われたからです。以来、科挙試験を受ける人にとっては「試験によく出る四書熟語」になって、記憶せざるを得なくなったんです。

―――公都子という人が質問した。

鈞是人也。

それなのに、なぜ大人と小人に分かれてしまったのでしょうか―――。これに対して孟子は、心の働きである「思い」を使って本当の自分を探し出すことに成功すれば大人になるし、失敗すると小人になってしまうのだ、と答えているのですが、朱子がそれにコトバの説明とかいろいろした上で、最後に、

・・・ところで、范俊の「心箴」にこう書いてあるぞ。

茫茫堪輿、俯仰無垠。人於其閒、眇然有身。

是身之微、大倉稊米、参為三才、曰惟心耳。

往古来今、孰無此心。

心為形役、乃獣乃禽。惟口耳目、手足動静、投閒抵隙、為厥心病。

一心之微、衆欲攻之。其与存者、嗚呼幾希。

以上のことをよくよく考えてくださいよ。

君子存誠、克念克敬。天君泰然、百体従令。

んだそうです。

先代の肝冷斎が平成30年6月4日に紹介しているみたいですが、科挙試験を目指している人もいるかも知れないので、七年に一回ぐらいご紹介しておきます。

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