6月26日 今日は暑いより蒸してます

巴峡人(巴峡の人)(「牛氏紀聞」)

しとしとと雨の降る夜であったろう。

湿気の多いところにはぼくたちが現れるよ。もと田んぼだったところにもいたりするかも。

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唐の調露年間(679~680)のことじゃ。

有人行於巴峡。

夜泊舟、忽聞有人朗詠詩。

曰く、

秋逕塡黄葉、寒崖露草根。猿声一叫断、客涙数重痕。

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黙って聴いていると、

其音甚厲、激昂而悲。如是通宵、凡吟数十遍。

初聞、以舟行者、未之寝也。

少しうとうとした。

目を覚ますと、少し周囲が明るくなっていた。吟じる声はもう聞こえなかった。

暁訪之、而更無舟船。

但空山石泉、渓谷幽絶、詠詩処有人骨一具。

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唐・牛粛「牛氏紀聞」巻六より。この一篇、百文字に満たないのですが、詩情にあふれ、哀切にしてしかも奇怪、唐代志怪小説中まれに見るところ、といわれる傑作です(李剣国2018「紀聞輯校・前言」)。まったくだ、ああすばらしいなあ。・・・みなさんも感動しましたよね?ね?

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