濃之為毒(濃の毒を為す)(「昨非庵日纂」)
ソース、しょうゆ、みそなどの味の濃いのは美味いではありませんか。薄いと美味くないので好きではないんです。薄くて美味ければ最高。

甘いのも歯が痛くなるぐらい甘いのが美味いではありませんか。
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しかしながら、
万物之病、皆生于濃。
万物の病は、みな濃に生ず。
どんなことでも、悪いことは「濃い」ことに起因する。
濃くなければいいこともたくさんあるのですが、
濃于声色、生虚怯病、濃于貨利、生貪饕病、濃于功業、生造作病、濃于名誉、生矯激病。
声色において濃なれば、虚怯病を生じ、貨利において濃なれば、貪饕病を生じ、功業において濃なれば、造作病を生じ、名誉において濃なれば、矯激病を生ず。
美しい歌や女(男も可)への興味が「濃い」と、うつろでびくびく病を発症する。
財貨や利益への興味が「濃い」と、むさぼり食べまくり病を発症する。
成功や出世への興味が「濃い」と、あれをやりこれをやる病を発症する。
名声や栄誉への興味が「濃い」と、えらそうでキレる病を発症する。
そんな病気はありませんが、高血圧や高尿酸血症というのはあるらしいのです。
噫、濃之為毒甚矣。
噫(い)、濃の毒を為すは甚だしきかな。
ああ、「濃い」ことは猛烈な毒ではないか。
吾従一味薬解此、曰淡。
吾、一味薬に従(よ)りてこれを解く、曰く「淡」。
わしは一つの薬味によってこれを解毒することができる。なんという薬味であろうか。「うす味」である。
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明・鄭瑄「昨非庵日纂」より。うす味で美味いものが作れるならいいのですが、そんなこと普通の人にはできません。政治の「うす味」もうまくいくならいいと思うのですが。
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