体貌至肥(体貌至って肥えたり)(続き)(「牛氏紀聞」)
食べすぎているわけではないんですが、どんどん内臓脂肪が増えてきて左右に振り向いたりできなくなってきているんです。意識の高い人みたいな自己管理能力があってたまるかなんです。

お酒飲んで一頭分肉食って寝る。どうやってカロリー消化しているのか。
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もう退屈してきましたが(少なくとも筆者の方は、ですが)、しようがないので昨日の続きです。
(前回のあらすじ)出身地不明の謎の僧侶は、都からお見えになった法将さまの涅槃経説経の席で、あろうことか酒を飲み蒸しブタを食べ始めたのだった・・・。
すごいむしゃむしゃ食ったので、
斯須酒肉皆尽。
斯須(ししゅ)にして酒肉みな尽く。
あっという間に、酒もブタ肉も無くなってしまった。
なくなると、
登其牀且寝。
その牀に登りてまさに寝(い)ぬ。
(法将さま用にきれいにしてあった)そのベッドに登って、そのまま寝てしまった。
食べてすぐ寝るんですから、肥満しますよね。
これは実は真昼間のことであった。
既夕、講経僧方誦涅槃経、酔僧起。
既に夕べ、講経僧まさに涅槃経を誦するに、酔僧起きたり。
もう夕方になって、経典を講じていた法将さまは、最後に涅槃経を高らかに唱える時間になっており、他の人もこれに和して法の喜びを味わっていた。そのとき、酔っぱらっていた僧は起きてきた。
起きてきて、言った、
善哉妙誦。然我亦嘗誦之。
善き哉、妙誦せり。然るに我もまた嘗(つね)にこれを誦す。
「いいですのう、いい読経じゃ。ところで、わしも、いつもこのお経を唱えておりましてなあ」
因取少草、布西牆下、露坐草中、因講涅槃経。
因りて少しく草を取り、西牆の下に布(し)きて、草中に露座し、因りて涅槃経を講ず。
そう言って、少しだけ草をちぎり取って、それを建物の西の窓際に敷くと、その草の上に座って、涅槃経について講義をしはじめたのであった。
その説経は、
言詞明白、落落可聴、講僧因輟誦聴之。
言詞明白にして、落落として聴くべく、講僧も因りて誦を輟めてこれを聴く。
コトバの意味することは明白であり、一つ一つはっきりと聴こえる。講義していた法将さまも「これは・・・」と自分の読誦を止めて、酔っ払い僧の話を聴き始めた。
内容がどうこうというより、声がいいとかはっきり聞こえる、というところばかりが評価されるというのは、現代人としては腑に落ちませんが、当時の大きなポイントのようです。・・・よく考えたら現代でも声がでかいやつが評価されるんだから同じか。失礼しました。
毎至義理深微、常不能解処、聞酔僧誦過経、心自開解。
義理の深微にして常には解する能わざる処に至るごとに、酔僧の経を誦し過ぎるを聞けば、心自ずから開解さる。
意味が奥深く、法将さまでも理解しきれていないところでも、酔っぱらい僧がその部分のお経を唱えると、心の中が自然に開かれたように、理解できるようになるのだった。
比天方曙、遂終涅槃経四十巻。
天のまさに曙らんとする比(ころ)、遂に涅槃経四十巻を終えたり。
夜明け近くになって、とうとう涅槃経四十巻の解説と読誦をすべて終えた。
この時、
法将生平所疑、一朝散釈都尽。
法将、生平の疑うところ、一朝に散釈してすべて尽くす。
法将さまは、これまでに疑いのあったところが、朝の光とともに雲散して、すべての謎が解けてしまった。
「ありがたや」
法将方慶稀有、布座礼之。比及挙頭、酔僧已滅。
法将まさに稀有を慶こび、座に布きてこれを礼す。挙頭に及ぶころ、酔僧すでに滅せり。
法将さまは、「ほんとに滅多にない機会をいただきありがたい」と有難がって、僧の前に頭をつけて礼拝した・・・んだそうですが、下げた頭を挙げて僧の方を見た時には、その僧はもう姿が無かった。
諸処尋訪、不知所之。
諸処尋訪するも、之(ゆ)くところを知らず。
あちこちを訪ねてみたが、どこに行ったかわからなかった。
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唐・牛粛「牛氏紀聞」巻二より(昨日の続き)。ほぼ予想どおり、の展開と結末でした。「ほぼ」と言っているのは、最後行方不明になりましたが、ここが頭を挙げた時にはもう「死んでいた」、しかし葬ったらヒョウタンしか残っておらず、同じ日に遠いところで謎の僧と会ったという人がいた、と入れ替わったタイプの展開もわずかに予想されたからです。
物語の先の展開構造が見えるとは、水戸黄門みたいで安心できます。結末近くまで見なくていいので、空いた時間で念仏でも唱えていられてありがたいですよね。時間管理に成功・・・ということでいいのでしょうか(全勝さんの「段取り」とはだいぶん違うと思います)。
それにしても、中島さんがすごく上から目線な人に見えます。記者さんが浅はかなんだと思いますが。(6月2日、これは全勝さんの記事要約の仕方が悪いので、中島さんは上から目線ではありませんでしたし、記事書いた人も悪くない、ということが判明しました。全勝さんも誤解の無いよう書き換えたとのことですが、肝冷斎は失敗の跡形として残しておきます。わしはダメなのじゃ。AI以下です。→6月2日の記事に続く)
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