5月30日 天変地異が起これば積読も解消される?

九鼎遷止(九鼎遷止す)(「墨子」)

為政者が悪いといろいろ不気味なことが起こるそうです。

為政者が悪いとどんどん天変地異するよ!
全勝さんから「家族の苦労」を除くとだいたい肝冷齋になるような気がするよ!

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以前、わたくし(墨翟)は、

当攻戦而不可不非。

と申し上げた(「墨子」非攻中篇)。

それは変わっておらない。変わっておらないのだが、ちょっと補足的に言っておく。

紀元前11世紀、殷の紂王の時代には、

天不享其徳、祀用失時、兼夜中十日、雨土于薄、九鼎遷止。

「薄」(はく)は王都付近の地名。

「九鼎」は紀元前20世紀ぐらい?と考えている人もいるという夏王朝の始祖・禹が天下の金属を集めて作った青銅器で、すごくでかくて最大という意味の「九」と呼んだとも、九つもあったから「九」だとも呼ばれたともいいますが、王の徳を象徴するとされた宝器です。それが勝ってに動いて別のところで発見されたのだ。

さらに、

婦妖宵出、有鬼宵吟、有女為男、天雨肉、棘生乎国道、天兄自縦也。

「兄兄」は「どんどん増える」「ますます」のオノマトペです。兄きがえらそうにするのでしょう。

一方、

赤鳥銜珪、降周之岐社、曰、周文王伐殷有国。泰顛来賓、河出簶図、地出乗黄。

と。

武王践功、夢見三神。

三神は言った、

余既沈漬殷紂于酒徳矣。往攻之、予必使汝大堪之。

武王がついに犯夫(犯罪者)・紂(もう「王」ではないんです)を征伐する軍を挙げると、

天賜武王黄鳥之旗、王既已克殷。成帝之賚、分主諸神、祀紂先王。

・・・というような正義の戦は、戦争ではなくて征伐、すなわち治安維持のための行為だから、いいんですよ。

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「墨子」非攻下篇より。十日間土の前が降るとか、妖しい女や「でかあたま」が出現するなど、紂王時代のデモーニッシュな表現が不気味で、(墨子学派の)古代人の想像力の豊かさを示すものとしてときおり引用される「名文」です。思想史的には、「非攻中」と「非攻下」の間に孟子学派との議論があって、征戦を認めざるを得なくなった墨子学派は、孟子から「義戦」の概念を借りて「してもいい戦争」という概念を作ったんです。もともと防衛戦はしてもいい、大いにやって独立を守ろう、という思想ですが、敵地先制攻撃も認めたことになります。案外柔軟でいいやつではないですか、と思うのですが、SNS世代の攻撃対象になるかも?

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