5月28日 急いでやると能率ばんばん上がる?

縛虎不得不急(虎を縛るには急ならざるを得ず)(「後漢書」)

仕事は急いでやらなければ。ちんたらしていてはいけません。・・・みたいなことを言うひともいますが、そんなこともないかと思います。ただ、労働時間長いと能率下がるらしいから、明日できることは明日しよう。トラを縛る時ぐらいは急いでしないといけないかも知れませんが。

待て、肝冷斎。この「急」は「急行」の「急」(いそぐ)ではなくて「急峻」とかの「急」(けわしい、きびしい)ではないか。

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建安三年(198)三月、呂布は捕らえられて曹操の前に引き出された。

呂布は曹操に向かって言った、

今日已往、天下定矣。

曹操、

何以言之。

呂布、

明公之所患不過於布、今已服矣。令布将騎、明公将歩、天下不足定也。

また、かたわらの劉備の方を向いて、言った。

玄徳、卿為坐上客、我為降虜、縄縛我急、独不可一言邪。

何かいいこと言えや、と言っております。

曹操が少し和んだみたいで、笑って言った、

縛虎不得不急。

そして、

命緩布縛。

すると、劉備が言った、

不可。明公不見呂布事丁建陽、董太師乎。

操頷之。

呂布、劉備を睨みつけて言う、

大耳児最叵信。

「叵」(ハ)の字が出てきました。現代日本の当用漢字にはありませんが、漢文ではよく使われます。「可」という字をひっくり返すとこの形になるはず(はねたところを延ばしてください)。「可」の反対で「不可」の意、「できない」「~しがたい」という意味になります。

劉備は耳がでかくて腕が長い、という異相の人であったから、「耳でか野郎」と言ったのである。
こうして、呂布は縊り殺されたのであった。

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南朝宋・范曄「後漢書」巻七十五「劉焉袁術呂布列伝」より。このあとに呂布の参謀・陳宮と曹操の会話もかっこいいのがあります。范曄から見ればもう二百年以上前のことなのに、なんでこんな見て来たようなことが書けるのでしょうか。水晶球を覗き込んで、「む、見えた!」と言って書いているのかも知れません。急いで岡本隆司先生の中公新書「二十四史」を読めば何かわかるかも。

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