5月18日 読解力はマニュアルを読むのに必要

顔色無異(顔色(がんしょく)異なる無し)(「何氏語林」)

上品で度量のある人のお話をします。でもこういう人は資本主義社会の労働力としては如何なものであろうか。

困ったときにはSDGsとAIで産業振興と言っとけばいいのね、べんべん。

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南朝・斉の時代、

予章王北宅後堂宴集、沈率与褚太宰並善琵琶。

沈文季と褚淵は、いずれも前代の宋の時代から宰相を輩出してきた名家の出身、特に褚淵は美男子として名高い方であられる。当時の感覚では人気政治家でかつ大アイドルみたいな人です。

酒酣、太宰取楽器作明君曲。

大騒ぎだった宴席はいっぺんに静かになって、その演奏に聞き入った。その最中に、突然、

沈便下席大唱曰、沈文季不能作技児。

沈文季が席から立ちあがり、序列の低いところまで移動し、大声で言った、

と。

突然なんだ?と思うかも知れませんが、高い読解力を用いて、「彼は酔っぱらってる」と解釈できれば納得行きます。
予章王は言った、

此故当不損仲容之徳。

「仲容」とは、竹林の七賢の一人で、琵琶の名手・阮咸の字です。

こっちも絶対酔っぱらってるんですが、

太宰顔色無異。

この褚淵さまは、

宅嘗失火。烟焔甚逼、左右驚擾、太宰神色怡然、索輦来徐去。

ということも伝わっております。

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明・何良俊「何氏語林」巻十四「雅量篇」より。上品でかつ度量のある方のエピソード集。褚淵さまは、美男なので夫のいる公主(内親王)に監禁されて、一晩に十回迫られたが十回とも相手にせずに翌朝解放されたというエピソードもあります。稀に見る大人物だと評判だったが、確かに乱脈に陥いっていたとはいえ、宋王朝を見限って斉への禅譲に協力するなど、後世にはあまり評判がよくありませんようです。

・・・という褚淵さまの経歴などITで調べられますから、詰め込みで記憶する必要はありません。でも出てくるのが漢文(中文)なのでそれを読む思考力は鍛えられます。やっぱりIT教育はすばらしい! きちんと受けてないので困っておりますよ、うっしっし(冷笑)。

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