白髪遺臣(白髪の遺臣)(「明治大正名詩選」)
こんなになってはいけませんよね。この先大丈夫かどうか知らんけど。

若いのが何とかする(はず)でクマー。知らんでクマが。
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明治時代のひとが六朝の宋の時代のことを妄想しております。
ある農村、
門巷蕭条夜色悲。
門巷蕭条として夜色悲し。
うらぶれたその家の門先はさびしく、夜更けの雰囲気は悲しげである。
鵂鶹声在月前枝。
鵂鶹(きゅうりゅう)の声、月前の枝に在り。
月の夜だ。フクロウの声が月のこちら側の枝から聞こえる。
雰囲気悪いです。
誰憐孤帳寒檠下、白髪遺臣読楚辞。
誰か憐れまん、孤帳寒檠の下、白髪の遺臣楚辞を読むを。
誰が同情するであろうか。孤独なカーテン、寒々とした燭台の下、
白髪となった滅んだ国の元臣下が、屈原の亡国の恨みをうたった「楚辞」を読んでいるのだが。
もう新しい時代なのだ。じじいに同情するものはいない。
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本朝・栗本鋤雲「題淵明先生燈下読書図」(陶淵明が灯りの下で本を読んでいる絵に書きつけた)詩。陶淵明は東晋の時代には仕え、その後の宋の時代には仕えなかった。「明治大正名詩選」前篇に入っていたのを引用しました。鋤雲は幕末に昌平黌頭取、外国奉行として函館、あるいは訪欧して活躍したが、維新後は報知新聞の記者などをして、明治三十年に没。意外と新しい時代にも長生きしました。行年七十六という。
この詩は、当然、陶淵明先生に自らを比している、というか、そのつもりで誰かに頼まれたのでしょう。
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