1月14日 優秀なやつからいなくなる

尽与其名姓(ことごとくその名姓を与(あ)ぐ)(「韓非子」)

優秀な人材は真実を知って歯向かってきたときに困りますから、早めに追い出されたりする・・・ということはないのでしょうか。ところで、この人たちはどんな人材だと納得するのかな?

人間はすぐころしてくるからイヤでぶー。

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紀元前のずいぶん昔のことでございますが、

鄭桓公、将欲襲鄶、先問鄶之豪傑良臣弁知果敢之士。

鄭も決して大きな国ではありませんが、そのすぐ傍に、より小さな都市国家・鄶(かい)がありました。別にぴったりした例ではありませんが、千葉市と東金ぐらいの関係でしょうか。

そして、石板に、

尽与其名姓、択鄶之良田賂之、為官爵之名而書之。

相手に断ったわけではありません。

因為設壇場郭門之外、而埋之、釁之雞猳若盟状。

「猳」(か)はブタ。「釁」(きん)は犠牲ドウブツを殺してその血を塗りつけて、聖別する儀式。「釁」は「ちぬる(血塗る)」と訓じます。

城門の外なので、つねに監視しているわけではないのですが、何やら変な施設ができている、という報せを受けて、鄶の君主はその場を調べさせた。

そこで、町の優秀なやつの名前を刻みこんだ石板を見つけたのである。

鄶君以為内難也、而尽殺其良臣。

それを確認してから、

桓公襲鄶遂取之。

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「韓非子」巻十「内儲説下」より。「この程度の謀略に引っかかるやつがいるのか? これだったらおれだって「今孔明」と称されるぐらいの軍師になれるのでは」とみなさんお驚きになると思いますが、なにしろまだ春秋の時代にもならない素朴な時代のことですから、この程度でも騙されるやつは騙されたのです。

現代でも、あらゆるところに国民分断の罠は仕掛けられているかも知れないのですが、現代のみなさんは新聞、TVなどのオールドメディアはもちろんのこと、SNSや動画にも騙されることがないわけですから、安心です。

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