是難測地(これ、測りがたきの地なり)(「世説新語」)
ダニはいると思っているんですが、シラミやノミまではまだ発見できてません。。

タコの腹の中には墨が入っているのでちゅ。
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東晋の時代のことですが、顧和が揚州府の従事となって、丞相(揚州府の太守を兼ねる)の王導の部下になったとき、
月旦当朝、未入頃、停車州門外。
月旦朝するに当たりて、いまだ入らざるころ、州門の外に停車す。
毎月の一日の日は必ず出勤して太守に面談することになっていたが、役所の門の外に牛車を止めたまま入ろうとしなかった。
王導の友人・周顗が王導に面会しにやってきた。
歴和車辺、和覓虱。夷然不動。
和の車辺を歴するに、和、虱を覓(もと)めて夷然として動かず。
顧和の車のあたりうを通ったのだが、顧和はシラミを探しているばかりで、平然としていて、周に挨拶しようともしない。
周既過、反還。
周すでに過ぎ、反還す。
周は一度は顧和の横を通って行ったが、すぐに反転して戻ってきた。
そして、
指顧心、曰、此中何所有。
顧の心を指さして曰く、この中、何の有るところぞ、と。
顧和の胸のあたりを指さして、言った。
「この中には何があるのか?(お前には何か抱負はあるのか)」
顧搏虱如故、徐応曰、此中最是難測地。
顧、虱を搏つこともののごとく、おもむろに応じて曰く、「この中、最もこれ測りがたきの地なり」と。
顧和は相変わらずシラミを探しては潰していたが、やがておもむろに、「この中に何があるかは、ほんとに計り知れないんです」と言った。
周顗は、「ふーん」と言って王導の部屋に入って行った。
開口一番、
語丞相曰、卿州吏中有一令僕才。
丞相に語りて曰く、卿の州吏中に一令僕の才有り。
王に向かって言った、
「おまえさんの楊州府の部下の中に、そのうち尚書令(官房長官)や僕射(ぼくや。副丞相)になる人材が一人居るな」
「そうか。なるほど、ありがとう」」
王導はそれが誰なのか、名前も聞かなかった。
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南朝宋・劉義慶「世説新語」雅量第六より。顧和は、如何にもハスに構えた、東晋のこの国そのもののような人ですね。しかし、この態度は単なる出社拒否かも知れません。いろいろツラいことがあったのかも。なお、言われているとおり、後には尚書令にまでなった。
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