11月17日 寝ている間にうまくいってるかも

見其不動(その動かざるを見る)(「蛍窗異草」)

「黄紙」はもちろん普通の黄色い紙ですが、「こうし」だと天子の詔勅をいい(六朝期以降キハダを混ぜた紙を使ったからだという。キハダを混ぜると害虫がつかないらしいんです)、「きがみ」だと江戸時代の代官から老中への上申書(黄色い付箋をつけた)のことです。表紙に着けたら「黄表紙」に?

おれは、実は害虫を食べる益虫の一面もあるんでソリ。

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清の中頃、河北の薊郡に石橋があって、

伝言下有毒物。行旅相戒、莫敢休息。

ところが、ある日、

有販生椒者、駆二蹇衛駄椒遠来。

遠くから来た行商人だったので、その橋の危険なことを知らなかったのである。

ちょうど旧暦四月の終りで、暑さに苦しみ、

小憩於橋梁。卸其椒籠置諸石欄、驢亦散齕於草際、披襟偃息、倦極熟眠。

むにゃむにゃ。これはいい気持ちです。ところが、

夢中似有風声、疑有人攘其椒。

「攘」(じょう)は、「攘夷」のように「払う、取り去る」にも使いますが、「盗む」の意味もあります。

と思ったのですが、あまりに疲れていたのですぐには起きられず、

良久始寤起視之、椒故依然。有巨物懸於欄側、状如琵琶、灰青色。

「なんだ?」

と目を擦ってみると、

乃一蠍也。

「うひゃあ!」

大駭欲奔、既而見其不動。近之諦観、則已為椒麻斃矣。

どうやら、荷物を漁ろうとして蓋の無い籠の中に入って(この時に風のような音がしたのだ)、山椒のぴりぴりした刺激で体中が麻痺してしまったのだ。すぐに起きていたら完全には麻痺せずに暴れていたかも知れないのだが、起きるまでに時間がかかったので死んでしまったのであろう。(ほんとにそんな効果があるのか、と思うかも知れません。自分で山椒の実を浴槽に入れて、そこに全裸で入って試してみては如何でしょうか。電気風呂みたいにぴりぴりして気持ちいいかも)

其人異之、帰併其椒、以一驢載蠍而行、首尾皆払地焉。

怪物が退治されたのを知った町の人々が、その後ろからぞろぞろとつき従い、まるで凱旋将軍のようであったという。

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清・浩歌子「蛍窗異草」より。よかった。毒を持った巨悪は退治されたのです・・・というように、偶然うまく行くこともあるので、まさかと思うかも知れませんが、もしかしたら今、世の中はいい方向に行っているのかも知れないではありませんか。確率はかなり低いとは思いますが。

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