喑嗚叱咤(喑嗚として叱咤す)(「梁渓漫志」)
怒ってはいけません。誤字脱字や意味不明、論旨不明瞭などあttも。

眼光するどいスネークマンだ。スネークパーソンだ。言い換えておかないと裁判やネットたたきがあるかも知れないので萎縮する。
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宋の時代、安徽の和州烏江に、小さな祠がありました。
其神蓋項羽也。霊響昭著。
その神、けだし項羽なり。霊響、昭らかにして著し。
祭神は漢の高祖との戦いで名高い英雄・項羽で、神霊のあらたかなること明確であった。
紹興辛巳年(1161)、金の皇帝・完顔亮(わんやん・りょう)が、大軍を催して南宋を攻めた時、この祠の近くに野営した。
野望に燃えた完顔亮は、祠の存在を聴くと、
「今回の征討の成果を項羽殿に占ってもらおうではないか」
と言って、
入致禱、擲珓数十、皆不吉。
入りて禱を致し、珓を擲つこと数十、みな不吉なり。
祠に入ってお祈りをした後、「珓」(こう)を投げてみた。「むむ」不吉な結果だったので、また投げてみた。「むむ」不吉な結果だったのでまた投げてみた・・・、ということを数十回繰り返したが、すべて不吉な結果が出たのである。
「珓」(こう)というのは、何枚かを投げて、その裏表で吉凶を占う道具です。凶の出る確率は半分以下になるように作ってあるのですが、数十回やっても凶が続いたというのだから、頭に来たことでしょう。
怒甚、取火欲焚其廟。
怒り甚だしく、火を取りてその廟を焚かんとす。
「けしからんぞ、この神さまは!」
たいへんお怒りになり、「火を持ってこい」と松明を持って来させて、「これであの祠を焼いてしまえ」と命じた。
するとその時であった、
俄大虺見于神坐、聳身張口、目光射人。
俄かに大虺の神坐に見(あらわ)れ、身を聳やかせ口を張りて、目光人を射る。
突然、巨大な爬虫類(大蛇)がお堂の神さまの座に現れ、身をぐぐっと高く持ち上げ、まるで咬もうとするするかのように口を大きく開けた。その時の目の光は、人を射るようであった。
完顔亮は驚き、
怖而出、随聞大声発于廟後、若数百人同時喑嗚叱咤者、挙軍震恐、即移屯東去。
怖じて出づるに、随いて大声の廟後に発し、数百人同時に韻嗚(いんお)として叱咤するがごとく、挙軍震恐して、即ち屯を移して東去せり。
びびって祠から飛び出して来た。すると、その背後、祠の裏側から、数百人が同時に
「うおーーーん!」
と𠮟りつけるような声が聞こえてきた。金軍は全員、恐怖に震えて、ただちに屯所を東の方に移動させて離れて行った。
その後、完顔亮は長江を目前にして反乱に遭って弑された。皇帝であったのですが、死後、後継の皇帝から皇帝であったことを剥奪され、歴史上は一段下の「王」とされて「海陵王」と呼ばれます。
海陵王が殺されて、金軍が引き揚げた後、和州からこの時のことの奏上があり、感心した朝廷は、祠の神さまに、詔して
霊祐王(たすけてくれた神霊強い王)
の称号を賜ったのであった。
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南宋・費兗「梁渓漫志」巻九より。すごい霊力です。眼光鋭い光を発するとは。太陽光のように発電もできるかも知れません。何かの役に立ってもらわないと、大課長に叱られるかも。
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