10月21日 動物のように合理的に振る舞おう

猫衰犬旺(猫は衰え犬は旺(さか)ん)(「浪迹叢談」)

「逆襲してやるでブー!」「やっつけてやるニャ!」「ぼくはやめとくワン」

にんげんに逆襲すべく体を鍛えるでぶー!!! 

おれたちも協力するぜ!(あまり役に立たないけどニャ)

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もう二百年近く前の清代のことですが、わたくしの郷里の閩(福建)では、

有猫衰犬旺之諺、謂人家有猫犬自来、主此兆也。

ただ、この「命題」にはいろんなバリエーションがあります。「田家五行」という通俗書を見ると、

凡畜自来、可占吉凶。猪来貧、狗来富、猫児来、開宝庫。・・・①

ブタが来ることもあるんですね。

此与閩語不合。

明の江盈科の「雪涛談叢」によれば、彼の郷里の江蘇では、

猪来窮来、狗来富来、猫来孝来。

「孝」は親孝行だからいいことでは? と思うかも知れませんが、これは親が死んで服喪して孝行を尽くすことを言います。

と言い慣わされているそうです。

故猪猫二物皆為人忌、有至必殺之。

必殺されるでぶー! されるでニャー! (ホッ。ぼくは大丈夫でワン)と、ドウブツたちの悲鳴が聞こえてきそうです。

都市と田舎のことわざを集めた「雅俗稽言」という本では

猫児来、帯麻布。

というコトバが記録されています。麻の服は喪服にも使われます。ところが同書には、別に、

猫児来、耗家。

ということわざも記録されています。

ネコはそんなに大食いではないので、家を食いつぶすとは思えない。どうもこのへんに手がかりがありそうだぞ。

蓋其家多鼠耗、故猫来捕之。

因耗誤為孝、又因孝布転為麻布耳。

「消耗」の「耗」を「もう」と読んでいるのは日本語の読み癖なだけで、この字は本来「こう」と読みます。

我が郷の住金海先生いう、

此等語聞諸長老、謂是已然之効、非将然之祥也。

つまり、①のことわざの意味は、

窮則墻坍壁倒、猪自闖入之。富則庖厨狼藉、狗自赴之。開当舗則群鼠所聚、猫自共捕耳。

なるほど。近代的です。でも貧乏になっても裕福になっても、ドウブツたちの前に役所が来るかも。生活再建もお願いしますよ。

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清・梁章矩「浪迹叢談」続談巻八より。最後は合理的な分析になってしまいました。確かに、ドウブツはたいてい合理的です。これに対して、日頃の人間関係の怨念などがドウブツに向けられて、「必ず殺す、ひっひっひ」とブタやネコを殺してしまうのですから、やはり人間が一番不合理で怖ろしいドウブツかも知れません。

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