10月3日 草津の湯にでも入ってきてください

鬼在臆中(鬼、臆中に在り)(「宣室志」)

みなさんのはどこまで入っているかな。

こんなの入っていたらたいへんだ。体が重くてのそのそしてしまう。

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春秋・魯の成公の十年(前581)、晋の景公が病んだ。

求医于秦。秦伯使医緩為之。

この医師がまだ到着していない時に、

公夢疾為二豎子。

一人が言うに、

良医也。懼傷我。焉逃之。

もう一人が言った、

居肓之上、膏之下、若我何。

と笑っている夢であった。

夢から覚めて、やがて秦から派遣されてきた医師が診察に来た。

医師は診察して、居住まいを正して曰く、

疾不可為也。在肓之上、膏之下。攻之不可、達之不及、薬不至焉。不可為也。

公は言った、

良医也。厚為之礼而帰之。

と、「春秋左氏伝」成公十年章に書いてあります。いわゆる「病、膏肓に入る」の語源ですね。

何故病気になったか、とか、このあとの展開なども興味深いのですが、それはそれとしまして、唐の天宝年間(742~756)のこと、

有渤海高生者、亡其名、病熱而脊。

其臆痛不可忍、召医視之。

医者は言った、

有鬼在臆中。

「妖怪? ・・・それではどうしようもないなあ・・・」

医者は言った、

薬亦可療。

そして、

於是煮薬而飲之。

忽覚臆中動揺、有頃嘔涎斗余。

と、

其中凝固不可解。以刀剖之、有一人自涎中起。

初甚幺麼、俄長数尺、高生欲苦之、其人起出降階、遽不見。自是疾癒。

「幺麼」(ようま)は微小なこと、微小なもの。

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唐・張讀「宣室志」巻十より。これが夢に出てきた「疾」の子どもかも。唐の人は、薬が効いてよかったです。さて、みなさんの胸には、どんな妖怪が入っていますか。カネ? 地位? 名誉? ・・・治るやつかな。

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