蓑焚殆尽(蓑、焚けてほとんど尽く)(「述異記」)
今日は40年前の仲間たちと飲食した。とりあえずみんな40年間生き延びたのである。

戦国の世を生き抜くのは誰だ?
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康煕甲辰年(1664)夏六月、銭塘烏山にて、
一村農、因天雨披蓑笠耘苗、忽雷電激繞其身。
一村農、天の雨ふるに因りて蓑笠を披て耘苗するに、忽ち雷電激してその身を繞る。
村の百姓が一人、ちょうど天候が雨になったので、みのとかさを着て苗を植えていたところ、とつぜん、いまづまが走り、彼の周りをぐるぐると取り巻いた。
「うひゃあ」
農懼而奔、雷電随之。
農懼れて奔るに、雷電これに随う。
百姓が恐れて逃げ出したところ、いなづまはその後を追ってきた。
「どひゃあ」
踉蹌棄其蓑笠、雷即撃其蓑。
踉蹌(ろうそう)としてその蓑笠を棄つるに、雷即ちその蓑を撃つ。
あわてふためいて、みのとかさを脱げ棄てたところ、雷は即座にそのみのに落ちた。
どかん。
及霽来視、蓑焚殆尽、中一赤蜈蚣長尺余、有両翅如蝙蝠。
霽(は)るるに及びて来視するに、蓑焚(や)けてほとんど尽き、中に一赤蜈蚣の長さ尺余にして、両翅蝙蝠の如き有り。
晴れてから来て見てみたところ、みのはほとんど焼け尽きていたが、その中に一匹の赤いムカデが焼け焦げていた。長さは30数センチ以上、コウモリのような翼が生えていたのであった。
蓋此物能飛食龍脳。故雷撃之也。
けだし、この物、よく飛びて龍の脳を食う。故に雷、これを撃つなり。
つまり、この翼あるムカデは、飛んで龍の頭から脳みそを食ってしまうというもの(らしいの)である。そこで、(龍の武器である)カミナリが、これに落ちて焼いてしまったの(かも知れないの)だ。
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清・東軒主人「述異記」巻下より。あやうく、やつら同士の争いに巻き込まれるところでした。この事件はたまたま事情が判明したものですが、我々の目に見えないところで、このような生存闘争が行われているのである(のかも知れない)。このような厳しい世の中で、なんとか40年生き延びたとは大したものである。その間にバブルとか平成不況とか阪神とか東日本とかてぽどんとかいろいろあったのに。来年夏には未曾有の大災害あるとのうわさもあるそうです。今度こそ?
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