歌以言志(歌いて以て志を言う)(「魏武侯集」)
涼しくなっても上り道は苦しいですよ。下りは楽ですが。

貴族は無茶苦茶してくるんで、倒れたふりでモー。
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二世紀の終わりころのことなんですが、
晨上散関山、此道当何難。
晨に散関山に上るに、この道はまさに何ぞ難き。
朝、散関山に上り行く。この登り道は、どうしてこんなにきついのだろう。
牛車に乗ってたんですが、
牛頓不起、車堕谷間。
牛は頓して起たず、車は谷間に堕つ。
ウシは倒れて起き上がろうとしない。車は谷の間に落ちてしまった。
しようがないので、
坐盤石之上、弾五弦之琴。
盤石の上に坐し、五弦の琴を弾ず。
岩石の上に座って、五弦琴を弾くことにした。
作為清角韻、意中迷煩。
作りて清角の韻を為すも、意中は迷い煩いぬ。
清らかな角音(五音階の一)の音調の曲を弾いたが、心の中は悩み迷っているばかりなのだ。
とにかく、
歌以言志、晨上散関山。
歌いて以て志を言い、晨に散関山に上りぬ。
歌を歌おう。そこでわたしのあこがれを語ろう。朝、散関山に上り行く。
詩的な誇大表現なんだと思うんですが、事実だとしたら、車が谷に墜ちてしまったのをどうすればいいのか悩ましいのでは。
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後漢・曹操「秋胡行」(秋のえびすの行(うた))其一です。魏武侯・曹操さまの詩だからかっこいいですね。歌いて以て志を言う――は、「うた」の本質を説明した句として古来有名です。「夕焼け小焼け」の赤とんぼも飛んで、秋になってきました。まだ暑くてたまらないですが、あと少しのしんぼうだ。ところで、「小焼け」とはなんなのでしょうか。
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